第十一章 追憶の二重奏
幕間 庭園の管理人
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「それが表に出たのが発熱や体調不良とかじゃない?」
「……イリヤさんが言う、その『受け入れる』能力とは一体何ですか?」
「これも推測でしかないけど、多分『超能力』の一種でしょうね。あなたたちの言う『系統魔法』とも『先住魔法』とも違う。あなたが個人的に持つ能力。簡単に言えば周囲から様々なものを受け取る力。情報だったり、力だったり、ね。あなたはその受け取る力が強いのよ。強すぎると言ってもいい。自分の許容量以上の力を受け入れてしまうほどに」
強い視線に押されるように、ますます深く顔を伏せるカトレア。
「……」
「そんなことが何でも続けば、少しずつだろうけど、確実に罅が入り、最終的には壊れてしまうわね」
壊れる……つまり死ぬということ。
粘りを感じる口内を動かし、声を発する。
「魔法さえ……使わなければ……」
「駄目ね。何度も言うけど、あなたの『受け入れる』能力は桁違いなのよ。だから『精神力』が身体を満たしていたとしても、普通に生活している中で周囲の魔力を吸収し続け……少しずつ身体を蝕んでいくわ」
「……では、どうすればいいのですか?」
低い、小さな声の問いかけに、イリヤはさっぱりと肩を竦めると首を横に振った。
「制御の仕方を覚えるしかないんだろうけど、あなたの力は『魔術』じゃなくて『超能力』だから、私にはわからないわね。……まあ他には、魔力の吸収を防ぐために、何か護符でも身につけるしかぐらいしか……そうね、あなた何かシロウからもらってない? シロウってそういうところ妙に勘がいいと言うか隙がないと言うか?」
顎を向け『何かない?』と問うてくるイリヤに、カトレアは直ぐに思い至ったものを思い出しながら強く頷いた。
「あ、貰っています。確か『オオデンタミツヨ』という『マモリカタナ』を……」
「へぇッ!? それは凄いわね」
カトレアの口から出たある単語に、イリヤは驚嘆の声を上げた。
今日一番のイリヤの驚きの声と顔に、カトレアも驚いたように口を開くと、右手で口元を隠しながら小首を傾げてみせる。
「凄いのですか?」
「ええ。まさか宝具を渡されているなんて……大事にしなさいよ。『大典太光世』は護符としても一級品よ。身につけておけば心配ないでしょうね」
太鼓判を押すイリヤに、ほっとした顔のカトレアが何かを抱くように胸元に両手をやった。
「そう……ですか」
「―――でも、まあ。これで、どうしてあなたがここにこられたかの理由がわかったわ」
安堵の表情を浮かべるカトレアの顔を口元を緩ませたイリヤは眺めていたが、不意に小さく口の中で『ぁぁ』と声を上げると、大きく首を縦に動かし頷いて見せた。
突然のイリヤの動きに、カ
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