第八話
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いと敵に場所を知られてしまうため黙々と歩き続ける。
不意に、カチッと何かのスイッチが入るような音が鳴った気がした。
「今、なにか聞こえなかった……?」
「なにかって?」
「カチッていう音」
「ん〜? アタシは聞こえなかったけど……オルレアンは?」
「私も聞こえなかった」
「空耳、なのかしら……」
しばらくジッと辺りを窺うが、特に変化の兆しを見せない。
気のせいかと歩みを再開した。
† † †
歩き続けること五分。道が開けた。
どうやら出口にたどり着いたみたいだ。
「ようやく出口ね」
凸凹した道を進むと鉄製の両扉が出迎える。
ここが最奥地だろうか。ダンジョンマスターがいるとしたらここだろう。
「開けるぞ……」
緊張した顔で扉に手をかけるオルレアンに頷く。
重たい音を響かせて扉が開き、私たちはすばやく中に入った。
中はただっ広いドーム上の空間で、とくに魔物の姿やトラップは見られない。
奥のほうには玉座が据えられており、人影が確認できた。
パッと玉座の周囲にある不滅の松明が灯り、人影が姿を見せる。
「むふふ〜、よくぞここまできたでしゅね!」
その人物をで一言で表すと、デブ。
貴族が着るような上品な服は突き出たお腹によりはち切れそうになっており、金色の髪はおかっぱの形をして、丸い顔は油滾っている。
一目見れば誰しもが「うわ〜、ないよあれは……」と言いたくなる容姿だ。
右手の中指に指輪が嵌っていることから、アレがダンジョンマスターと見ていいだろう。予想以上の醜悪な姿に一同絶句しているけど。
「ポキの元にたどり着けたのはお前らが初めてでしゅ。しかし、このダンジョンマスターであるポキを甘く見ては――」
ダンジョンマスターの口上なんて無視して神速で駆け寄り、その首を跳ね飛ばす。
「困りま……しゅ?」
自分の身に何が起きたのか未だに理解できていない様子のダンジョンマスターの首は、きょとんとした表情を張り付かせたまま地面に転がった。
一泊遅れて胴体が崩れ落ちるのを横目に血振りをする。愛剣が穢れてしまった……後で神殿に行って浄化してもらわないと。
「呆気ない幕切れだったな……」
「んー……、こんなのがケルベロスをどうにかできたのかなぁ」
確かにルセリアの言うとおりだ。とても地獄の番犬とも呼ばれるケルベ
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