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大魔王からは逃げられない
第八話
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 隊長であるゴブリンが手を振り下ろした。


【撃てー!】


 一斉に彼らは手にしていた武器を放つ。


『ぐぁぁああああ!』


『な、なんだ!? いったいどこか――』


『ヒィィィィッ! もうやだ! 帰る、おうちに帰るぅぅぅ!』


 混乱の極みにある侵入者たち。しかし無慈悲に放たれた見えない攻撃は確実に命を奪っていった。


 ものの数秒で物言わぬ屍と化す。


【殲滅成功。しかし凄いなこれは……】


【ホントホント! まるで明るい場所にいるみたいに見えるよ!】


【こんなのまで作れるなんて、人間って恐ろしいね……】


【バカ! 魔王様がすごいんだよ! こんな凄いものをなんでもないように貸してくれた魔王様がな】


【さすがは魔王様だ!】


【魔王様ばんざーいっ】


 なぜかその場で円陣を組んで万歳コールをし出す精鋭部隊。


 少しむず痒い思いを感じながら彼らに次の指示を飛ばした。


「最弱の魔物のゴブリンが冒険者たちを圧倒するだなんて、すごい魔道具ですね」


 傍らで同じくスクリーンを眺めていたシオンが感嘆の溜息を洩らした。


「魔道具っていったら魔道具だけど、純正じゃないがね」


 ただのゴブリンが冒険者たちを瞬殺できた理由。それは彼らに与えた装備にあった。


「科学のかの字も知らないこの世界にとってはアレだけでもオーバーテクノロジーだからね」


 そう。彼らには本来この世界には存在しないはずのものを二つ与えてある。


 一つは暗視ゴーグル。


 夜間や暗所でも視界を確保するための装置であり、現代でも広く名が知られ軍属の人には馴染ある代物だ。


 もう一つはクロスボウ。またの名をボーガン。


 これも現代では広く知られている代物だ。専用の矢を板ばねの力とこれに張られた弦に引っ掛けて発射する武器。弓とは違い狙いが定めやすく、力をそんなに必要としない利点がある。


 とはいえ、俺自身は軍属ではないしミリオタでもないため、そこまで詳しくは知らない。ゲームを通じてこんなものがある程度の知識しかない。


 だが、そんなことでへこたる俺ではない。


 幸い俺にはチートともいえる数々のスキルや頼れる友人たちがいる。


 持てる知識とスキル、人脈を駆使してなんとか現代の兵器をいくつか再現することに成功したのだ!


 この暗視ゴーグルとクロスボウもそれらの一つである。


「ダーシュは?」


「上級コースで待機しています」


「ん、了解。……おっ?」


 スクリーンの一つに注目する。画面の向こうには
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