第1部 笑え!運命!
第1部その1:凹んでなんか居られないんじゃね?
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は言えない啓太とユーノは暫し困惑を余儀なくされた。
「まぁ…コイツは俺が何とかするよ」
「…できるの?結構すごい事になっているよ?」
「大丈夫だ、問題ない」
某フラグのような台詞を吐いて啓太は背後に置いていたある物を槍一の前に置いた。
「……ラジカセ?」
なのはは首を傾げた。
CDラジカセを使って一体何をするつもりなのだろうか?
歌でも流すのかな?
「そのラジカセが何なんだい?」
「まぁナノっちもスクラっちも見ていてくれよ、面白いから」
何の変哲も無いCDラジカセを見て訝しむユーノにそう答えると啓太は、再生ボタンをカチャリと圧した。
するとスピーカーから『ある大物の曲』が大音量で流れ出た。
「……何これ?ボンバイエボンバイエって聞こえるけど」
「炎のファ○ター、アン○ニオ猪木のテーマ」
「誰…なの?」
プロレスになど興味の無いなのはは眉をハの字にしてスピーカーの方を眺めていた。
その時、槍一に変化が訪れた事を知らずに…………。
遠くから聞こえる、ブラジル辺りの言葉で「ブッ飛ばせ」という意味の声援が彼の指をピクリと動かす。
声援が重なって段々と大きくなっていくのに連れ、彼の瞳に輝きが戻り全身に力が宿る。
やがて喧しいブラスの音色によるイントロが境内に響き渡ると、今までゾンビのようだった彼の顔に血が通い、突然一人で「ファイッ!ファイッ!」と叫びだし……Aメロが流れた瞬間……。
「ダアアアーーーーーッ!!!!!」
握りしめた右手の拳を天高く突き出した。
「ふぇ!?」
豹変した槍一の姿を目の当たりにし、一歩後ずさるなのは。
漢と漢による燃える闘魂の世界など知らない幼気な少女には少々刺激が強すぎたようである。
「元気ですかー!?」
「は…はい!」
「元気が有れば何でも出来る、いくぞーー!!」
「お…おー、なの」
緩急激しい槍一のテンションに目を白黒させるなのは。
そんな彼女の姿を見て「別にわざわざ乗らんでもいいのに…」と啓太は思っていた。
「いーち、にー、さーん、ダアアアーーーーーッ!!!」
「え…えっと、だーーーー!」
この時、なのはは少し帰りたいと思った。
「復活だな」
「う…うん、その様だね」
口角を釣り上げる啓太に対し、釈然としないユーノは複雑な表情を浮かべて異様に顎をしゃくれさせた友人の姿を眺めていた。
「一応聞くけどさ…」
「何だスクラっち?」
「他の曲だとどうなるの?」
どうでも良い疑問、しかしこの時ユーノは何故かそれを知らなくてはならない気がしてどうしようも無かった。
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