第1部 笑え!運命!
第1部その1:凹んでなんか居られないんじゃね?
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タの送受も専用のものが設けられている。
ミッドチルダなどで一般的に使用されているデバイスの規格よりも強度と伝達容量に優れており、運用の方法によっては最前線で戦うアイアン・ウィルが収集した情報の全てをリアルタイムで後方のスティールスピリットに共有させる事が可能である。
尤も、恐らくそれが本来の使用方法なのであろう。
そうでなければ極めて汎用性の低い通信様式にするメリットが無い。
啓太はそんなデバイスを「戦術的に優れた欠陥だらけの兵器」であると思っていた。
戦場における情報ネットワークの構築はこの世界でも最早常識となっている技術である。
その面で言えば彼等二つのデバイスは性能面で自分達の世界の1世紀以上は先を行っている。
圧倒的な処理能力でもって戦場のあらゆる変化を量子レベルで観測し、驚異的な伝達速度と容量でもってリアルタイム共有を行うなど、そんな物が実在したのなら世界の戦場は一変するであろう。
しかし、デバイスは言うなればそういったコンピュータを搭載する武器であり即ち兵器である。
それだけの圧倒的な戦術的アドバンテージを保持しても尚、武器としての性能に粗が目立ちすぎるのだ。
槍一のアイアン・ウィルを例に挙げてみると分かりやすい。
機動力を犠牲にした近接格闘のみの制圧兵器など戦場においてはナンセンスな事この上無い。
スティールスピリットも同様だ。
一個人には大げさ過ぎる特科大隊1個分相当の砲撃能力はデータリンクを駆使すれば超々精密砲撃も可能であるのにも関わらずFCS(射撃統制システム)の性能が極端に大ざっぱであり、米軍の砲兵部隊並みに面制圧の事しか念頭に置いて居ない設計である事が見て取れる。
ある程度の汎用性を持たせておけばあらゆる戦況に柔軟に対応できる最強の戦力を保有できると言うのに、この設計者は何故特化型に拘ったのであろうか?
啓太はそれが不思議でならなかった。
しかしながら、そんな事を思った所で彼にはデバイスを改造する知識も無ければ技術も無い。
当面の間は「極めて癖の強い」自分達のデバイスを最も効率よく運用する為に知恵を絞る他無いのである。
それには、今回槍一が戦った他の魔導師の戦闘やデバイスの運用方法が収められた記録が重要になってくる。
(敵を知り己を知れば百戦危うからず…ってね)
≪何ですかそれは?≫
独り言の様に頭の中でそう思うつもりだった物をうっかり念話に乗せてしまった啓太は、スティールスピリットにそう尋ねられた。
(この世界の諺さ、敵と味方双方の情報を正しく認識していれば100回戦っても負けることは無いってね)
≪成程…文武両道とはまさにこの事、流石は司令官、何をやっても一流でありますね≫
啓
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