9『錬金一家』
[6/6]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
たんだな。ある日、いつも猫がいる場所に行ったら、そこ居たのは散々痛めつけられた猫だった。治療は間に合わなくて、その猫は死んだ……姉貴が、その時にすごい泣いたんだ。俺も悲しかった。大切にしてた猫が死んでしまったのも悲しかったが、それ以上に姉貴が泣いたのが悲しかった。……今は、医学系の大学に進んでると思う」
「へぇ……」
「……だから俺は、その時助けられなかった猫の代わりに、君の友達を助けようとしているのかもしれない。自分勝手な奴だよな。ごめん」
いえ!とシリカは声を荒げる。そんなことは無い。絶対にない。
「ヘルメスさんは私を助けてくれたんです。だから自分勝手なんかじゃありません!二人で一緒に、ピナを生き返らせましょう!」
ヘルメスは、驚いたように目を開けていたが、やがてにっこりとほほ笑んだ。シリカが初めて見る、《錬金術師》の笑顔だった。
「ありがとう、シリカ。……さぁ、明日は早いぞ。もう寝よう」
「はい」
おやすみなさい、と言って、シリカは自室に戻った。
「……姉貴。今はどうしてるんだ。あんたの義弟が、別の世界で罪滅ぼしをする気になっているのを見たら、どう思う……?」
ひとり、ヘルメスが呟いたのは、シリカには聞こえなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ