9『錬金一家』
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複数持っててな……一個貰ったんだ。便利だぞ。そこいらの地図なんかよりずっと」
ヘルメスが水晶を操作すると、ヴン、と音を立てて、半透明の立体マップが出現する。
「きれ〜い……」
「SAOは機械がないらしいのに、こういうのは発展してるんだよな……オーパーツとか言うのかな。それとももとは文明が発達してた設定なのか……っと、すまない。僕、背景世界設定に目がなくてな……」
今一瞬、ヘルメスの一人称が『僕』になった気がしたのだが、気のせいだったのだろうか。いえ、と笑って、シリカはヘルメスが説明を始めてくれるのを待つ。
「ここが四十七層の主街区だ。で、ここが思い出の丘。道中はそこまで危険なモンスターは出なかったと思う。すまない。あんまりよく覚えていないんだ……――――ッ!」
そこまで話して、ヘルメスの表情が険しくなる。ドアの向こうを、彼が睨み付ける。
「……ヘルメスさん?」
「しっ……」
ヘルメスがとっさにシリカの口を押える。ヘルメスは説明を続けながら、そろり、そろりとヘルメスがドアに近づき……
「で、そこの道に出現するモンスターが―――――お前は誰だ」
開け放つ。するとそこには、つんつんととがった髪の毛の男が呆け顔で立っていた。はっ、と男は我に返ると、一目散に逃げ出した。
「……逃げられたか」
「盗み聞きって、出来ないんじゃ……」
「《聞き耳スキル》がない奴はな。まぁ、あんなの上げてるのは俺みたいな物好きか、変態か、それとも……」
ヘルメスが考え込むそぶりを見せる。
「シリカ、ごめん。ちょっと待っててくれないか。メッセージを打たなきゃいけない用ができた」
「あ、はい」
ヘルメスは手早くメッセージを打つと、椅子に戻ってきた。しかし説明することはあまり残っていなかったらしく、残りの説明は短かった。
「……一応、これで全部かな」
「ありがとうございました」
どういたしまして、と言うヘルメスに、シリカは唐突にさっき感じた感情が戻ってくるのを感じた。
――――もっとお話ししたい。
「……あの、ヘルメスさん」
「?……どうした?」
「ごめんなさい。失礼だとは思うんですけど……あの、お姉さんのこと、お話してくれませんか。私に似てる、って言ってたから、気になっちゃって……」
「ああ……」
ヘルメスは、苦い顔をして頷いた。
「シリカ、《トリメギストス・アルケミー・カンパニー》って知ってるか?」
「え?あ、はい。私の父……ルポライターをしてるんですけど、仕事で何度か従業員の方と話してるのを見ました」
「そうか。……あのな。冗談みたいに聞こえると思うんだが……俺の親父は、あそこの社長なんだ」
「へぇ……って、えええぇぇ
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