9『錬金一家』
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似顔絵(提示したのはアルゴだが)にそっくりだったからだ。
「あれぇ?あのトカゲ、どうしちゃったのかしら?……もしかしてぇ?」
「ロザリアさん……」
シリカがその名前をつぶやく。確定だ。この女は、SFsを襲ったオレンジギルド、《タイタンズハンド》リーダーロザリアその人だ。つまり、彼女がターゲットにしたというパーティーは、シリカの所属していたパーティーらしい。つまりヘルメスは危ういところで彼女を救ったことになる。
「(いや、他の奴らも救うんだ)」
ヘルメスはシリカに手を振るほかのパーティーメンバーを見て思った。彼らに罪はない。罪のないものが虐げられる世の中は、ヘルメスはあまり好きではなかった。もちろん、博愛主義とは異なるのだが……。身勝手なご都合主義だという事は分かっている。だが、ヘルメスはそれでいいと思う。自分が正しいと思うようにやる。正しいか正しくないかは、周りの人が判断してくれる。
――――インドでは、「周りの人に迷惑かけて育て」って言われるらしいぜ。お前も俺達に一杯迷惑かけろ。全部受け止めてやるからな。
義兄の言葉が思い起こされる。
「ピナは死にました……でもっ、必ず生き返らせて見せます!」
「へぇ、じゃぁ思い出の丘に行く気なんだ。できるかしらぁ?」
ヘルメスは、ロザリアが思い出の丘のイベントについて知っていたことに多少驚く。しかし直後、そうか、と思い直す。ロザリアは犯罪者ギルドのリーダーだ。そう言ったおいしいアイテムなどの情報には強いのだろう。
「可能だ。俺も付いていく」
ヘルメスはシリカの肩に手を置いて進み出る。すると、ロザリアがねめつけるようにヘルメスを眺める。
「ふぅーん。あんたもその子にたらしこまれたクチ?見たところあんまり強そうには見ないけど」
「だろうな。見せてないわけだから」
事実だった。ヘルメスは極力武器などを隠すようにしている。ヘルメスが装備しているコート類は、性能は良いのだが外見が非常に地味だ。一見しただけではレベルや実力を測るのは無理だろう。
「行こう」
「あ、はい……」
ヘルメスはシリカを促して、宿屋に入る。せいぜい頑張ることね、と、背後でロザリアが言うのが聞こえた。
*+*+*+*+*+
「……どうして、あんなこと言うのかな……」
シリカは、宿屋の一階のレストランで、料理が運ばれてくるのを待ちながらそう言った。ロザリアの性格がお世辞にもよくないことは知っているが、最近の彼女の意地悪な発言は度を越していると少し考えていた。
「……シリカは、MMORPGはSAOが……?」
「初めてです」
そうか、とヘルメスは呟いた。
「俺もゲーム好きだが、あんまりオンラインはやらなかったん
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