As 02 「遭遇」
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ての頼みなら大抵のことを聞きそうではあるが、はやてが他人を傷つけるような真似はしない。おそらくヴィータ達の独断のはずだ。
だがヴィータ達ははやてのことが好きだ。はやてが傷つくようなことはしないはず……しかし、今起こっていることは現実だ。他人を傷つけてまでこんなことを行っているのには、何かしら理由があるはず。
はやてを巻き込まないようにしていると分かる以上、ヴィータ達が俺と繋がりがあったことを他者に知られるわけにはいかない。知られてしまえば、はやての存在が明るみに出てしまう。そうならないためには、剣を振るい続けるしかない。
「うわああぁぁぁぁぁッ!」
突如響いたテスタロッサの悲鳴。魔力を奪われているに違いないのだが、俺は視線を向けるだけで助けに行こうとする気力はなかった。
何でこんなことをしているんだ、という意味を込めて視線をヴィータへと戻すと、彼女は俺から視線を逸らした。歯を食いしばっているあたり、簡単には言えない理由があるのだろう。
ヴィータはしばらく無言を貫いた後、ゆっくりと視線をこちらに戻した。今にも泣きそうな顔を浮かべながら、デバイスを構える。
〔……ご……ごめん。で、でも……〕
謝罪の念話と共に繰り出された攻撃を受け止めはしたが、力の入っていなかった俺の身体は簡単に吹き飛んでいった。地面に激突し、勢い良く転がり続ける。その間にファラから手を放してしまった。
全身に痛みを感じるが、それに対する感情は全くといっていいほど沸いていない。高町達と同じように魔力を奪われるかと思ったが、タイムリミットだったのかヴィータは姿を消していた。
「何で……何でなんだ……」
泣きそうだったヴィータの顔。でも、という言葉に続いていたであろう言葉。それらについては考えることができるのだが、考えれば考えるほど心の中の何かが消失していく気がした。それに伴って力もろくに入らなくなり、俺は仰向けのまま摩天楼を見上げ続けた。
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