八幕 Sister Paranoia
7幕
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
船内に潜入してからアルクノア兵を撃破しつつ、ついに一行は中央ホール前に着いた。
銃を使えるアルヴィンとルドガーを先陣に、ドア前で左右に分かれて展開する。
「――行くぞ」
全員が、硬く肯いた。
ルドガーとアルヴィンが銃を構えながらホールに飛び込んだ。
フェイたちは銃で警戒態勢の二人の後ろに続いた。
「近付いてはいけません!」
はっとする。フェイは誰の声を聞き間違えても、この声だけは間違えない。
「おばちゃん!」
雛壇の最前列で、紅い男に頭を押さえつけられているのは、マルシアだった。
「まさか……フェイリオ!? だめよ、来ないで!」
「――余計な発言はお控えを」
紅い男がマルシアのうなじに手刀を落とした。マルシアが動かなくなる。
「リドウさん……? 何であなたが!」
「マクスウェルの召喚を手伝ってやろうっていうのに、そんな顔するなよ」
リドウは雛壇を降りると、拘束された男の顔面に蹴りを入れて、背中を向けた。突如として現れた紅の歯車がリドウの姿を変質させる。
(ルドガーやメガネのおじさんと同じ――骸殻!)
次の瞬間には、リドウはフェイたちの輪の中に潜り込んでいた。
フェイは心臓が絞られる心地で、エルとルルを抱えて隅に転がった。
その間にもルドガーたちはリドウに応戦する。
「何で? 4対1なのにっ」
「ナァ〜!」
体の下に庇ったエルが悲鳴じみた声を上げた。
リドウはただ一人でルドガー、ミラ、ジュード、アルヴィンの全員を翻弄している。
強い。シロウトのフェイにもぞっとするほどよく分かった。
「どうしよう…っフェイ、何とかできない?」
「……やってみる」
フェイはエルとルルをホールの隅に立たせ、自分は前に出て、戦いの場にできるだけ近寄った。
目を凝らす。乱戦になっていてリドウだけ別に捉えるのは難しい。それでも、フェイ・メア・オベローンは〈妖精〉を冠する少女だ。彼女にとっての精霊術は呼吸やまばたきに等しい。
リドウに傷を与え、ルドガーたちにはパワーアップしてほしい。そういうイメージを頭で組み立てる。そうなれと頭で強く念じる。
戦いに精霊術を使うのは初めてだが、失敗しないだけの自信はあった。
「――パーティクルロンド」
乱闘でありながら均衡を保っていた戦いが破られる。
何度攻撃を仕掛けても当たらなかったルドガーたちの武器捌きのスピードが唐突に上がり、リドウに傷をつけたのだ。
リドウは不利を悟ってか、忌々しげにルドガーたちから距離を離した。
「今の…」
「フェイ……あなたっ」
パーティクルロンドは本来、術者自身を光速化させる算譜法だが、フェ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ