第五十五話 演奏その六
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「そうする?」
「そうね、その方が皆楽しいかもね」
「関西だからね、ここ」
関西といえば阪神だ、もっと言えば最早日本一の人気球団だ。野球ファン達も真の野球がわかってきたのであろう。巨人にあるものは何か、それはマスコミにより作られた人気であり似非盟主だ。巨人に真実はない。
「だからね、巨人は論外として」
「阪神だけでいくべきかしらね」
「阪神なら皆聴いてくれるし」
「そうよね」
阪神にあるものは華だ、巨人のイミテーションに対して。
「選手の人達の応援歌ならね」
「それならね」
「皆も熱狂してくれるし」
「それじゃあね」
こう話が決まりかけた、そしてそれは決まりかけただけではなかった。
琴乃は難しい顔でだ、里香以外の三人に聞くと。
景子と彩夏もだ、こう言うのだった。
「私もそれでいいと思うよ」
「私も」
これが二人の返事だった。
「他のチームの方はどうもってところあったから」
「声援はあったけれどね」
「ここ関西だからやっぱり阪神よ」
「阪神が一番人気よ」
「阪神嫌いな人いないからね」
そこが巨人と違う、巨人は全人類の永遠の敵である。
「ファンじゃない人でも」
「そうそう、何でか阪神嫌いな人はいないのよね」
「好きだって人はいても」
阪神ファンでなくとも阪神は嫌いではないのだ、アンチ阪神という言葉はない。アンチ巨人という言葉は日本に満ちているが。
「だからね、阪神だけでもね」
「それでもいいわよね」
「むしろ阪神の方がいいわよね」
「関西だからね」
二人もこう言ってだ、そうしてだった。
最後の一人、プラネッツのリーダーである美優もこう言うのだった。
「それがいいだろうな」
「美優ちゃんもそう言うのね」
「ああ、他のチームもいいと思うけれどな」
それでもだというのだ。
「阪神がダントツだからな」
「そうよね、どうしても」
「あたしとしてはな」
美優はぼやきながらも自分の言葉を出した。
「今一つな」
「他のチームとの人気と比べたらね」
「阪神が凄過ぎるからな」
それでだというのだ、美優も。
「それがよくわかったしな」
「じゃあね」
「ああ」
こうした話をしてだった、五人は店になっている部室に戻った、そのうえで部長に話すと。
部長もだ、納得した顔でこう五人に言った。
「それでいくといいわ」
「そうですか、それじゃあ」
「阪神だけでいきます」
「選手の人達の応援歌も入れて」
「それで」
「ここで自分を貫くのもいいけれど」
部長はそれもよしとして話す。
「それでもね」
「お客さんのニーズに応えることもですか」
「大事なんですか」
「そうよ、大事よ」
こう言うのだった。
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