第十章
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(ほんまか!?)
彼はそのサインを見て蒼白になった。そしてゴクリ、と喉を鳴らした。
(確かにわしは脚には自信はあるが)
彼は西本を見て思った。西本はその彼に対して目で言った。
(御前ならやれる、安心せい)
彼は藤瀬の脚にも絶対の信頼を置いていたのだ。
だが藤瀬は狼狽していた。彼にもあの大毎でのことが脳裏にあった。
(もしここで失敗したら・・・・・・)
そういう不安があった。石渡の方を見た。
それに対して石渡は冷静だった。彼は自信があった。それで定評があったからだ。
(あいつ、何でああまで冷静でいられるんや)
藤瀬はそう思った。それがつい顔に出てしまいそうになる。そしてそれを抑えるのに必死になる。
江夏は左である。従ってそれを見ることはできない。だから藤瀬の動作はよくわからない。
石渡はさっきと変わらなく見える。だが外見上そう見えるだけだ。内面は見ようとしたが見抜けない。どうやらあえて隠しているようだ。
江夏に藤瀬は見えなかった。だが彼は広島ベンチからはよく見えた。
「あいつの様子、どう思う?」
古葉は隣にいたコーチに対して囁いた。
「藤瀬ですね」
「ああ」
古葉はそれに対して頷いた。
「怪しいと思うじゃろが」
「ええ、確かに」
そのコーチは頷いた。
「来るな」
彼はそう言うとベンチにメモを送った。
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