第五章
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りにレフトに垣内哲也を送った。
「あれ、杉山をおろすんか!?」
これには誰もが驚いた。
「折角の秘策やのにな」
実は森には彼を使わなければ引っ込めざるを得ない理由があったのだ。
杉山と潮崎に外野の守備練習を行っていた時だ。杉山の動きが悪いことに気が着いたのだ。
「これはまずいな」
森は思った。彼は守備を特に重要視することで知られていた。
「相手の戦力を見る時はまず守備からだ」
彼はよくそれを言った。間違っても打線から見ようとはしなかった。
「打線から見たら戦力を見誤る」
それが理由であった。打線は確かに派手だ。だがその派手さに惑わされるのだ。
だから彼はまず守備から見た。そしてそこから攻略法を見出すのだ。
そして八七年の巨人との日本シリーズにおいては決定的な勝利を収めている。
「巨人の守備には致命的な弱点がある」
彼は巨人のデータを調べてそう看破した。
「センターのクロマティだ」
彼は巨人の主砲であった。その打撃センスの良さは折り紙つきだった。
「バッターとしては脅威だ。だがその守備は穴になっている」
まず彼はクロマティの動きを見た。
「動作が緩慢だな」
確かにクロマティの動きは遅い。打球への反応が悪い。特に内野への送球が遅かった。
「そして肩も弱いな」
そのボールにも注目した。そして彼は結論を出した。
「彼のところにボールがいったならば積極的に次の守備を狙え」
そうノートに書いた。そしてその機会がやってきた。
第六戦。ここで勝てば西武の日本一である。遂にその作戦を実行に移す機会がやってきた。
二塁には清原がいる。彼は西武時代は足もあった。
ここでセンターフライがあがった。深い。森の目が光った。
「行け!」
清原がタッチアップした。クロマティも巨人ナインも誰もが三塁だと思った。
だが清原は三塁ベースを回った。三塁ベースコーチ伊原春樹の右手が大きく回った。
清原はそのままホームへ突進する。中継の川相が慌ててボールをホームに送球する。
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