低速の世界
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かの魔法を使うより先にその喉をかっ切れる」
ナイフの切っ先とリオンの喉の距離は短い。
今誰かがレーサーを背後から押せばぐさりと突き刺さるだろう。
「若ぇうちは増長するのも悪くねぇが相手がよくなかった。オレは六魔将軍だ」
目に血が入るのか、リオンは右眼を閉じて息を切らす。
「六つの魔、六つの祈り。決して崩れねぇ六つの柱だ。その柱を揺らす者には、死あるのみ」
ぐい、とナイフが近づく。
その距離はもうゼロに近い。
「やは・・・り・・・」
――――――しかし、リオンの表情から笑みは消えない。
「?」
「遠くの鳥が物凄い速さで飛んでいるのを見て・・・貴様の魔法の正体が・・・わかった気がした」
「!?」
リオンの言葉にレーサーが反応する。
レーサーが自分を追いかける、それは全て『計算のうち』。
「貴様の魔法は自分自身の速度を上げる魔法じゃない。相手の・・・いや、正確には一定範囲内の体感速度を下げる魔法」
レーサーの頬を冷や汗が流れる。
追い打ちをかけるかのように、リオンは口角を上げたまま言い放つ。
「つまりはオレが遅くされていただけ。そしてこの魔法が一定範囲にしか効果がない以上、その範囲外から貴様を見た時」
その瞬間―――――――
「貴様のスピードは奪われる」
――――――氷が割れる音が響いた。
遠く、樹海の木々を超える大きさの氷の柱の1番上。
そこに―――――氷の弓矢を構えたグレイと、水の大砲を構えたティアはいた。
「な・・・こ、この為に奴等からオレを遠ざけて・・・」
「なるほど。よーく見えるぜ」
「見えすぎて怖いくらいにね」
一定範囲内の体感速度を下げる魔法。
その外からなら、レーサーは速く動いているように見えない。
だから、狙える。
「しかしあれほどの距離!当たるハズがない!」
距離はある。
だからレーサーは当たらないと言い張った。
「当てる」
が、リオンはそれをハッキリと否定する。
かつて戦った事のある奴だからだろうか・・・解るのだろう。
「何かを成し得ようと・・・」
遠くで氷の弓の弦が引かれる。
水の大砲の口に青い光が集まる。
「強い想いを持っている時の妖精の尻尾は・・・」
レーサーの表情が驚愕に染まっていく。
そして――――――
「最強なんだ」
リオンが言い放った、瞬間。
「スーパーフリーズ―――――――アロー!!!!」
「アクエリアス――――――キャノン!!!!」
氷の矢と、水の砲撃が同時に放たれる。
(オレの祈り・・・それは・・・誰よりも速く・・・
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