低速の世界
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!」
すると、リオンが駆け出した。
樹海の奥へと向かっていく。
「遅い遅い!」
それを持ち前のスピードでレーサーは追いかけていく。
それを見たリオンは造形魔法の構えを取った。
「貴様の弱点はその攻撃力の無さ。どんなにスピードがあろうが決め手に欠ける」
そして構えから両腕を胸の前でクロスさせるような体勢になる。
「アイスメイク、針鼠!」
「何!?」
その背中に氷で造られた針のように尖ったモノが纏われる。
思わずレーサーは動きを止めた。
「どうした?自慢のスピードでここまで来てみろ」
挑発の言葉を口にしながら更に走る。
相手に対して自分は常に背中を向けている。そのガラ空きの背中に攻撃されればダメージを喰らう。
ならばと氷の針を纏った。
これなら後ろからレーサーのスピードで来ても、串刺しとまではいかないがダメージを負う。
「・・・甘いなァ」
―――――――ハズだった。
「!」
弾丸のようなスピードでレーサーが飛び出して来た。
その勢いは止まらないまま、リオンに突っ込んで行ってその腹に拳を決める。
「ぐはァ!」
パキィンと音を立て、氷の針が砕け散る。
「格下相手に最初から本気でやると思ったか?」
リオンはそのまま地面を転がる。
が、すぐに小さく地を蹴って立ち上がり走り出した。
「どこへ行く気だ!」
「ぐはっ!」
その後ろ姿をレーサーは追い、その背中に蹴りを決める。
「リオン様・・・」
先ほど攻撃を喰らい倒れるシェリーが小さく呟いた。
蹴りを喰らったリオンは1度地面に倒れるも、やはりすぐに起きあがって走り出す。
それをレーサーは追いかける。
「おいおい、最初の威勢はどうしたァ」
「がっ!ぎいっ!」
追撃を続けるレーサーの攻撃は止まらない。
左拳が決まり、避ける間もなく右拳が炸裂する。
「ど・・・どこまで行くんですの・・・!?」
そう呟くシェリーの目には遠くで一方的に殴られ攻撃を受けながらも先へと進んでいくリオンの姿が映っていた。
「くっ!あ!」
見えないほどの速さで攻撃が加えられる。
「ぐああああっ!」
そして目に見えないスピードの攻撃がリオンの腕や腹に切り傷を作り、そこから血が噴き出した。
力尽きたリオンは近くの木の根っこに首から上辺りを打ちつける。
「がは!」
その口から血が飛び――――
「!」
気づけばレーサーが目の前にいた。
リオンに乗っているような状態で、その喉元にナイフを突きつけている。
「テメェはオレに決め手に欠けると言ったな。だがそんなものは小型のナイフが1本あればいい。オレのスピードがあれば、テメェが何
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