Episode22:蠢き
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父さんの質問に頷く。なぜか、父さんと母さんはこういった研究所に対して敏感だ。その理由はまったく分からないけど。
「現れた黒幕の名前は、『緑川佐奈』カラーズ計画、とかいう実験から生まれた魔法師だって言ってたかな?」
カラン、と銀製のスプーンが床に落ちた。疑問に思いつつ拾うと、受け取った母さんの顔色は悪かった。
「どうかしたの?」
「あ、あぁ。ううん、なんでもないの。ちょっと疲れたのかしら?」
そう言って、苦笑いする。母さんの様子がおかしいのは明白だが、俺はこれ以上問い詰めないことにした。もしかしたら、本当に母さんの言うとおり疲れているだけなのかもしれない。
「それで?」
それに、父さんの様子が変わらなかったということも俺が追求をやめた一つの理由になっていた。
「それで、なぜか十字の道化師に勧誘されたけど断って、その後に戦闘。不意をついて氷漬けにしたけど、あの砂鉄操作は厄介だったなぁ。敵がいなくなったのを確認してから、達也たちと合流して人質の二人を保護、したんだけど…どこからか急に現れた少年に、緑川佐奈を奪われた。あの子…俺の世界の心眼でも捉えることはできなかったな。それで、あとは研究所から脱出、俺が雫を、達也たちがほのかを保護してそのまま別れたよ」
一通り説明し終わると、奇妙な沈黙がリビングを包んだ。いつも通りとは言い切れない二人の様子に首を傾げていると、コーヒーを一口飲んだ父さんが微笑んだ。
「そうか、お疲れ様。うん、状況は大体分かったよ。潮さんにはオレから伝えておくから、隼人は風呂に入って寝なさい」
「…うん、わかったよ」
色々腑に落ちない部分があるけど、ここは父さんの指示に従っておこうか。
残ったミルクティーを飲み干して、俺は席を立った。
「じゃ、おやすみ」
「ああ、おやすみ隼人」
「おやすみなさい」
のしかかってくる疲労感と戦いながら、俺はリビングを出て行くのだった。
隼人がリビングから出て行ってしばらく。櫂とセラは無言で座り込んでいた。正確に言えば、驚愕とショックで、動くことができない。
冷めたコーヒーが入ったカップを両手で包んで、櫂が小さく溜息をついた。
「…遂に、動き出したのか…」
「そう、みたいね…緑川……確か、四人目の成功者だったかしら?」
「ああ。緑川佐奈は、オレが把握している成功体では最後の被験体だ…けど、多分、もっと増えている」
沈鬱な顔で会話を続ける櫂とセラ。後悔と怒り、二つの感情が綯い交ぜになって、櫂は舌打ちを漏らした。
「…くそ、あの時オレが、アイツを殺していれば…!」
テーブルの上で強く強く拳を
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