Episode22:蠢き
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あれ、そんなに怒っていらっしゃらない?
「え、母さん怒ってない?俺、母さんの指示無視したんだよ?冷蔵庫に入ってるプリン食っちゃったんだよ?」
「…無事に帰ってきたんだから、私を無視したことは別に怒ってないわ。プリンは別として。だからそんなに怯えないで。プリンは別として」
ああ、めっちゃ怒ってる!主にプリンに対してだけど!
「あら、その子は…?」
俺に抱えられている雫の姿を見て、母さんの怒りがふっと消えた。まったく、感情の起伏が激しいんだから。まるでほのかみたいだ。いや、ほのかが母さんに似てるのか?どちらにせよ、やめてほしい。
「なにか失礼なこと考えてる?」
「イエ、マッタク」
いや、ほんと鋭いね。この鋭さを父さんに分けてあげなよ。
「隼人、なにか失礼なことを考えてないか?」
「なんで父さんはこっちには鋭いんだよ」
「ほんとよね」
「え?オレなんかした?」
来て早々に責められる父さん可哀想。俺のせいだけど。
「この子は北山雫だよ、今回の被害者。俺が送り届けることになったんだけど、家がわからなくてね」
「ああ、潮さんの娘さんか。隼人、雫ちゃんをスバルの部屋に寝かせてきてくれ。それで、事の顛末を教えてくれ」
「え、でも雫を家まで送らなきゃ」
「潮さんには一日ウチで預かるって言っておくから大丈夫だよ」
やっぱり、父さんと雫の父親は知り合いだったようだ。
「おーけー、任せて」
「リビングにいるからね」
頷いて、俺は階段を上がった。
「よしっと…」
スバルの部屋に入って、隼人は予想外に整頓されているのに驚きつつ雫を起こさないようにゆっくりとベッドへ寝かせた。寒くならないように毛布をかけて、隼人は息を吐き出す。
「ごめんね」
素早く救助できなかったことに謝罪し、雫の頬を撫でた。くすぐったそうに身じろぎするのに隼人は思わず笑みを零す。
「…おやすみ」
最後にそう呟いて、隼人はスバルの部屋を後にした。
パタン、と静かに扉が閉められて、
「……隼人さんのバカ」
顔を赤く染めた雫が、恨めしげに呟いていた。
「さて、疲れてるところ悪いけど色々聞かせてもらうよ」
姉さんが魔法大学の研修中で家を空けているから、リビングに集まったのは三人。俺が席についたところで、父さんが口を開いた。
「うん。まずは、事の経緯だね。どうやら、十字の道化師に今回誘拐された雫ともう一人、光井ほのかは下校時を襲われたようだ。大方、放課後遊んでたところを狙われたって感じか
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