8『竜使いの少女』
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
し、消滅してしまった。使い魔モンスターのAIには、自らモンスターに立ち向かうという物は無い。だからこの行動は、ピナの一年間にわたるシリカとの生活で芽生えた、本物の《友情》の証だという事だ。
惜しむらくは、それによってピナが死んでしまった事―――――
「あぁぁぁぁぁっ!」
シリカは無我夢中てピナを殺した個体を追い詰める。しかし、敵の見事な連携に逆にこちらが追い込まれてしまう。HPは危険域へと追い込まれ、死がすぐそこまで迫ってきているのを感じた。
「(ピナ、ごめんね……)」
目をつむって、ドランクエイプの攻撃を受け入れようとする。しかし、いつまでたっても衝撃は襲ってこなかった。
目を開けた時、そこに立っていたのは、鮮やかな銀色の長剣で、ドランクエイプを一刀のもとに斬り伏せる、銀髪の男だった。
「……すまない。君の友達を助けてあげられなかった」
男が言う。すると、ピナはもういないのだという悲しみがこみあげてきて、涙があふれてくる。
「お願いだよ……あたしを一人にしないでよ、ピナ……」
しかしその場に残っていたのは、物言わぬ羽根一枚だけだった。
*+*+*+*+*+
「……もう一度あやまらせてくれ……すまなかったな」
「いえ……私がバカだったんです……助けて下さってありがとうございました」
嗚咽を飲み込みながら、どうにかそれだけを言う。銀髪の男は、少しだけこっちに歩み寄ってくると、ピナの遺した水色の羽根を見て、小さく首をかしげると、ああ、と呟いて言った。
「その羽根、アイテム名が記されてるか?」
「え……?」
普通、モンスターが消滅した時には一切のアイテムを残さずに消滅するのが普通だ(シリカは見たことは無いが、プレイヤーは死亡時にメイン装備アイテムをいくつかその場にドロップするらしい)。なので、羽だけが残っていることがたしかに不自然に感じられた。タップすると、アイテム名が出現する。
《ピナの心》――――その文字を見た時、再びシリカは泣き出してしまいそうになった。すると、男があわてて言う。
「ま、待った待った!泣くな!確か心アイテムが残ってると、蘇生の可能性があるって話を聞いた気がする」
「ほ、本当ですか!?」
思わず声を荒げてしまう。男がびっくりした表情を取る。至近距離で見つめる形になった彼の顔立ちは、こっちがびっくりしてしまうほど整っていた。銀色の髪の毛と青い眼が非常によく似合う。もしかしたら混血児なのかもしれない。
「ああ……ちょっと待って」
男はメニューウィンドウを何度か操作すると、しばらく表示された画面を凝視したのちに、大きくうなずいた。
「《思い出の丘》っていうダンジョ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ