番外中編
蒼空のキセキ2
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心の底から愛してると思える、……彼。
私はこの世界で、今、生きている。今、幸せだ。
―――でもね、わかってるんだ。
この幸せは、永遠には続かないことを。もともとが安静を必要とするような病気なのだ。寝たきりでこの世界にとらわれてしまったことで、体に一切の悪影響がないはずがないだろう。私の病気は、心臓。そしてその障害は血液循環機能の障害という形で、心臓だけでなく全身のあらゆる臓器の機能不全をもたらす。それは、脳とて例外ではない。
はじめは、軽い手のしびれだった。
ほんのわずか、数分で治っただけの、発作的な動作の不良。
次は、目だった。右目が、急に見えなくなった。
やっぱり数分で治ったそれによって、私は確信した。
―――自分の残り時間は、少ない。
それも、伸ばすために自分にできることの何もない、そんな無慈悲な残り時間。
―――でもね、そんなの関係ないんだよ。
だって私は今、生きている。人は永遠に生きることなんてできない。遅かれ早かれ、別れは来るのだ。だから私がみんなよりちょっとだけ早く天国に行ったって、それだけじゃ不幸だとは限らないじゃないか。
私が今、幸せで。
そしてその幸せを、少しでもみんなに分けてあげられますように。
一つ目の願いの叶った今、それが二つ目の私の願いだった。
◆
「―――ら、起きなさい。……まっ……、ソラまで……理しなく……っての……」
「うみゅ……?」
「ほーら、おーきーろー。朝よー」
「みゅうぅ……?」
途切れ途切れに聞こえる声。ゆさゆさとゆすられる体。
「っていうか、あんた崩れ落ちるにももうちょっとあるでしょうよ……」
そして、なんかやけに体の節々に違和感。
いや、違和感というよりは。
「ぬおっ!? な、なんかすごいことになってるっ!?」
「あーあーあー、ほら、大丈夫?」
口に出しては説明しがたい感じになっていた。なんというか、ヨガもびっくり。もうちょっと捩じったら空中とかに浮かびそうな態勢。人体、っていうかこのSAOの関節駆動ってここまで曲がるんだっていう新鮮な驚きを与えてくれる姿勢だった。
まあ、体のほうは大丈夫なのだ。
「だいじょーぶっ! SAOだったらどんな格好で寝ても寝違えたりはないのですっ!」
「おへそだしてたけどね」
「うっ、そっ、それでもだいじょーぶっ! その程度では風邪はひかなーいっ!」
ちょおっと乙女のプライド(笑)的にはだいじょばないかもだが。
しゃきっと跳ねた私を見て、リズが(徹夜明けだろうに)快活に笑う。
「まったく、とんだお転婆姫様よね、あんたは」
「むむっ?
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