番外中編
蒼空のキセキ2
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
はとても正確だ。
口調とは独立したようなしっかりした手つきは、彼女の職人歴の長さを感じさせる。
だが。
「で、あんたがこんな慌てる理由は一つよね。今度はどこにデートなのよ」
「でっ、デートってわけじゃないよっ!? クエストで、ファーくんとかレミたんも一緒だしっ、別にそういうわけじゃっ、」
「はぁー、あんたも幸せ者よねえ……早く連れてきて紹介しなさいよ」
「うーっ……でも彼っ、金属装備なーんにもないんだもんっ……きっかけがねっ……」
職人である前に、彼女も一人の女の子なのだ。
こういった話題には、それ相応に敏感。
もちろん私も、こんな話題は嫌いじゃない。
むしろ積極的に聞いてほしいくらいだ。話しても話しても話し足りない。
「あんまり手甲使ってくれないしさーっ、消耗の時にリズも紹介したいなーっ、って思うんだけどなかなか……」
「あら、いっつも装備してるわけじゃないの? 結構自信作なんだけど、アレ」
「うーん、四人の時はネームド相手の時にたまに、かなっ」
「鎧もないんでしょ? ……大丈夫なの、それ?」
「うんっ、全然大丈夫なのっ! すっごいよねっ、全部躱しちゃうのっ! もうね、『当たらなければどうということはない』っ、状態! 無敵のBGMを歌っちゃいたいくらいなのっ!」
「へー」
「あそこまでできるのは『攻略組』でもあんまり見ないねっ! あっ、アスナんはもしかしたら練習したらできるかもっ、でもほんっとスゴイのっ、もうこう、ビュッってなってカッてなってグワーッってっ!」
「はーいはい、彼氏自慢はおなか一杯よ。……にしても、アスナよりねぇ……若干信じがたいというか、私には想像つかないレベルね、まったく……」
また熱くなっちゃった。悪いクセだな、と思う。
シドの話題となると、自分はいつも以上に饒舌で多弁になってしまう。
(でもっ、でもねっ!)
それでも、伝えたい。
この胸の想いを、もっと伝えたい。
―――だって、そうでないと、彼はあまりにも、悲しすぎるから。
ねえリズ、ちゃんと伝わってるかな。彼はちょっとだけ自分に自信がなくって、みんなの前に出たがらないけど。自分の力なんて大したことないって謙遜しちゃうけど。『攻略組』になんて敵わないなんて諦めてるけど。「『勇者』なんて柄でも、器でもない」なんて言っちゃうけど。
(そんなことは、ないんだよっ、て)
私は、そう想う。信じてる。信頼してる。
だから私は声を上げる。
ノロケだって言われたって構わない。むしろどんとこいだ。
彼はすごい人だって、いい人だって、素敵な人だってノロケ続ける。
だってそれは、彼が受けるべき、正当な評価だから。
私の想い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ