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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
番外中編
蒼空のキセキ2
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はとても正確だ。
 口調とは独立したようなしっかりした手つきは、彼女の職人歴の長さを感じさせる。

 だが。

 「で、あんたがこんな慌てる理由は一つよね。今度はどこにデートなのよ」
 「でっ、デートってわけじゃないよっ!? クエストで、ファーくんとかレミたんも一緒だしっ、別にそういうわけじゃっ、」
 「はぁー、あんたも幸せ者よねえ……早く連れてきて紹介しなさいよ」
 「うーっ……でも彼っ、金属装備なーんにもないんだもんっ……きっかけがねっ……」

 職人である前に、彼女も一人の女の子なのだ。
 こういった話題には、それ相応に敏感。

 もちろん私も、こんな話題は嫌いじゃない。
 むしろ積極的に聞いてほしいくらいだ。話しても話しても話し足りない。

 「あんまり手甲使ってくれないしさーっ、消耗の時にリズも紹介したいなーっ、って思うんだけどなかなか……」
 「あら、いっつも装備してるわけじゃないの? 結構自信作なんだけど、アレ」
 「うーん、四人の時はネームド相手の時にたまに、かなっ」
 「鎧もないんでしょ? ……大丈夫なの、それ?」
 「うんっ、全然大丈夫なのっ! すっごいよねっ、全部躱しちゃうのっ! もうね、『当たらなければどうということはない』っ、状態! 無敵のBGMを歌っちゃいたいくらいなのっ!」
 「へー」
 「あそこまでできるのは『攻略組』でもあんまり見ないねっ! あっ、アスナんはもしかしたら練習したらできるかもっ、でもほんっとスゴイのっ、もうこう、ビュッってなってカッてなってグワーッってっ!」
 「はーいはい、彼氏自慢はおなか一杯よ。……にしても、アスナよりねぇ……若干信じがたいというか、私には想像つかないレベルね、まったく……」

 また熱くなっちゃった。悪いクセだな、と思う。
 シドの話題となると、自分はいつも以上に饒舌で多弁になってしまう。

 (でもっ、でもねっ!)

 それでも、伝えたい。
 この胸の想いを、もっと伝えたい。

 ―――だって、そうでないと、彼はあまりにも、悲しすぎるから。

 ねえリズ、ちゃんと伝わってるかな。彼はちょっとだけ自分に自信がなくって、みんなの前に出たがらないけど。自分の力なんて大したことないって謙遜しちゃうけど。『攻略組』になんて敵わないなんて諦めてるけど。「『勇者』なんて柄でも、器でもない」なんて言っちゃうけど。

 (そんなことは、ないんだよっ、て)

 私は、そう想う。信じてる。信頼してる。

 だから私は声を上げる。
 ノロケだって言われたって構わない。むしろどんとこいだ。

 彼はすごい人だって、いい人だって、素敵な人だってノロケ続ける。
 だってそれは、彼が受けるべき、正当な評価だから。

 私の想い
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