八幕 Sister Paranoia
1幕
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そういったフェイの機微にはお構いなしに、ヴェルによる状況説明が始まった。
「最後の〈カナンの道標〉が存在する分史世界が探知されました。ですが、時空の狭間に障害物が存在し、進入点を塞いでいるのです」
「進入を試したけど見事に跳ね返された。四大精霊の力でな」
「四大の力!?」
「ミラ!」
「そう。ミラ=マクスウェルが最後の〈道標〉への壁となっているのだ」
ミラ=マクスウェル。今ここにいるミラとは異なる、正史世界のマクスウェル。ジュードたちの昔語りの中でしか知らない、フェイの中ではふわふわした存在。それがこんな所に現れるとは夢にも思わなかった。
フェイはこっそりミラをふり返る。ミラは俯き、何かを思案しているように見えた。
「とにかく、ミラ=マクスウェルを何とかしなければ、最後の〈道標〉は手に入らない。リーゼ・マクシアの皆さんにもご協力を願いたいのです」
「分かった。こちらも方法を探そう」
「――方法なら分かってるわ」
え、と声を上げる暇もなかった。ミラは金蘭の髪を振り乱し、社長室を飛び出して行った。
「どうしたの、ミラっ」
エルが追いかける。となると、自分も行かないことはないわけで。フェイはミラを追うエルを追って社長室から出た。
ホールに出てすぐ、エルがミラと共にエレベーターに乗ったのを視認する。
エルのほうもフェイたちに気づいたが、エレベーターの扉はタイミングが悪く閉まってしまった。
後から来たルドガーがエレベーターの「↓」ボタンを押して、一行はエレベーターの到着を待った。
短い間だが、フェイの思案には充分な時間だった。
「――ね。ルドガー、前にトールの遺跡に行った時のこと、覚えてる?」
「ああ」
「? 何かあったの?」
「あの時ね、ルルが二匹いたの。ルルと、ヘンな声のルル。会ったら、すーって消えちゃったの。まるで入れ替わるみたいに」
「それってまさか……ミラさんとミラも同じ……?」
ポーン。
エレベーターが開いた。話は一度置いて、フェイたちはエレベーターに乗り込んだ。
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