As 01 「不吉な予感」
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他人との距離をあまり詰めることもできていない……それどころか、唯一の友達と言えるはやてさえ、何度も不安にさせてきた。
「マスター。マスターってば」
「ん、あぁ悪い。ちょっと考え事して……」
ファラの顔を見た瞬間、さっきまでの彼女ではないと悟る。
表面上は先ほどまでの脱力状態のファラに見えるが、どことなくシュテルが機嫌が悪いときに発する圧力と似たようなものをかすかにだが感じる。彼女の機嫌は間違いなく下降気味だ。
「トレーニングじゃなかったのかな?」
「ん、あぁ……学校であんまり話せなかったからさ」
「ふーん。だから夜ふたりで会おうと?」
「いや、お前を抜きにしてもアルフは元々いる予定だったから」
ファラは味方をしてくれると思ったが、これは下手をすればシュテルに報告されるかもしれない。そうなったら絶対弄られる。
どうしたものかと視線をファラから外すと、ファラをまじまじと見ているテスタロッサの姿が視界に映った。何故このような反応をしているのだろうと思ったが、彼女と会話したのは初めて会った現場と治療室、別れのときくらいだ。
戦闘形態になっていたり、ポケットの中にいたりとテスタロッサはファラを見たことがないはず。彼女の反応も無理もないと納得し、俺は周囲に人がいないことを確認してからファラを手の平の上に乗せた。
「えっと……この子ってショウのデバイス?」
「ああ。ファラ」
「はじめまして。私、ファントムブラスターと申します。気軽にファラとお呼びください」
「え、あっご丁寧に。フェイト・テスタロッサです。よろしくお願いします」
深く頭を下げて挨拶したテスタロッサは彼女らしいので問題ないが、ファラの挨拶には凄まじい違和感を感じた。
敬語を使うことはあったが、基本的にレーネさんやスタッフの人といった年上にくらいだ。俺と同年代に今のような話し方をするのは初めてのはず。それにスカートをつまんで挨拶という淑女らしさもこれまではなかった。
ファラは挨拶を終えてから数秒ののち、何かに気が付いたような声を上げた。何事かと思って聞いてみると
「どうしようマスター、シュテルのせいで変な癖がついてる!」
……ああ、なるほど。礼儀正しい挨拶だったのはシュテルが教育したからか。
彼女にはお茶目な部分があるが、それは親しい人間にしか見せていないと思われる。基本的に真面目で礼儀正しい性格をしている少女だ。
育ちが良いのか、時間が有り余っているせいか、はたまた人間らしさを追及して教育したのかは分からないが、結果だけで言えば良い方向に転がったと言えるだろう。
「別に変じゃないし、礼儀正しくて良いと思うけど」
「そうだけど、マスターはシュテルに教わってないから言えるんだよ!」
「あ、あの……シュテル
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