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戦争を知る世代
第六話  三年後。
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第六話 三年後。


火の国暦58年6月12日 早朝 稲荷神社
イナリ


パン、パン

静かな空気を割いて柏手を打つ音が響く。

「お稲荷さま、行ってきます。」
そう言いながら目の前のお堂を見る。
古い木造の建物だが、天井だけ新しく見える。

形だけ戻った・・・・そう思う。
神社はその見た目をあの日から変わっていないかのように見せる。
けれど、変わったところもある。お堂の屋根、家、倉庫は新しいものになった。

そして何よりも・・・いた人が、いるはずの人がいない。

あの日のこと、時々思い出す。
神社が炎に包まれている光景を・・・
お母様が、お父様がお堂で死んでいる光景を・・・


本当に形だけ・・元に戻った。


今でも時々、泣きそうになる。
ううん、泣いている。

・・こんなんじゃダメだ。
前を向かないと。
お母様とお父様が天国で泣いてしまう。
強く生きないと。


知りたいこともたくさんある。
あの日、助けてくれた白い狐・・・お稲荷さまだったのかな。
それに僕を包んでいた青い炎・・。
火影様は僕の一族に関係するって言ってた。
ふしみ一族って何なんだろう。

・・・僕は何も知らない、自分の事も、一族の事も、そして何よりあの日の真相を。

この前、中忍の人が話をしてるのを聞いた。
あの日の岩隠れの襲撃は不審なことが多いって。その不審の中に稲荷神社のことも含まれるって。情報が漏れた、いや漏らした人間がいるんじゃないかって言ってた・・・。

本当に誰かが、稲荷神社のことを・・。



もっと学ばなきゃいけない。
もっと強くならなきゃいけない。



そうすることで、僕が今、知らないことを知る事ができるかもしれない。



「さ、アカデミーに行かないと。遅刻しちゃう。」
気持ちを切り替えて、歩き出す。

アカデミーに通うようになって1ヵ月が経った。同じ年頃の友達と一緒に勉強をしている。
楽しい、みんなと一緒にいると暖かい気持ちになれる。嫌なことも忘れられる、そんな気がする。
もしかしたら、戦争をしている今のご時世では、僕同様に戦争孤児が多いのもあるかもしれない。

僕たち戦争孤児はアカデミーに進み、忍になることが決められている。
戦争は常に人を必要とする。それは人が失われていくから。それを補充するために《戦争孤児援助策》というものがある。
これは戦争による孤児をアカデミー卒業までの生活資金、学業資金等を全額負担する代わりに、アカデミーに入学し、忍になることを強制するというもの。

つまり、生きて行きたければ忍になり、里の為、国の為に戦えと言うことですよね。

これは二代目火影がその職にあった時に施
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