番外6話『航路にて』
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り番をしてくれることもあるけど、そういうのは大体夕食の時に言ってくれている。このタイミングでいきなり言うからには何かあるのだろうか?
「なんで交代?」
聞いてしまうのはまぁ、仕方ないだろう。
「……んだよ」
「……え?」
いや、聞こえないから。
反射的に耳を近づけるとサンジがいきなり立ち上がって俺の耳元に口を近づけてきた。
あ、やばい?
そう思ったけどもう遅い。
「ナミさんが熱にうなされながらたまにおめぇの名前を呼ぶっつってんだよ!」
耳元で全力で怒鳴られた。
うるさい、とか耳が痛い、とか。
「さっさとナミさんとこ行って来い! このクソ甚平野郎が!」
甚平バカにすんな、とか。
そんなことをいろいろと思ったけど、それよりもサンジに言われた言葉が衝撃的すぎて俺の思考回路が止まった。
「ナミが……俺の名前を?」
「わざわざ口に出して繰り返すんじゃねぇ」
サンジはサンジでやっぱりで怒ってるし。
うれしいやらなんやらでちょっと自分でも気持ちの整理がつかないままに、それでも無意識に体が動く。見張り台から降りる時に見えるサンジになんだかお礼を言いたくなったけど、そうするとまた怒鳴られそうだからやめておく。
「おい」
「……ん?」
「てめぇ、俺と最初に会った時のこと覚えてるか?」
「?」
覚えてるけど。
ルフィはいきなり海賊王になるって言うし、サンジの飯は信じられないくらいに美味しかった。忘れられるはずがない。
それがどうかしたのだろうか。
「俺がてめぇとナミさんの関係を聞いたとき『兄妹のような関係』って言ったよな」
「えっと……まぁ、そうだな」
そんなところまで覚えてるのか。
我ながら言っていてみじめだった言葉だから俺も覚えてるけど、今言われるまで忘れてたような言葉だぞ?
……すごいな、サンジ。
「てめぇは兄妹だなんて……思ってねぇんじゃねぇか?」
「っ!?」
梯子を降りようとしていた足が、あまりにも的を射すぎてる言葉に、止まった。
あ、あれ……ゾロにもだったけどサンジにもばれてる?
俺ってそんなにわかりやすいのか?
「……」
なんて答えたらいいのかわからなくてつい黙り込んでしまう。
そんな俺に、サンジがわざとらしく舌打ちをして言う。
「はやく行きやがれ」
「お……おう」
そ、そうだよな。
だってナミのとこに行かないといけないもんな。
「……ナミさん泣かせたらオロすからな、クソ甚平が」
頭上から聞こえてきた小さい言葉に、なんとなくだけどサンジの優しさを感じた気がした。
「……」
――いや、別にそういう関係じゃないけど。
反射的に
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