番外6話『航路にて』
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安静にしているというのに容体は思わしくない。ただでさえ体温が40度を超えたりと悪化している状況なのに、不慣れというか看病経験0の俺が行ってもたぶんナミの容体を悪化させるだけだろう。
ナミのことは好きだけど、こういう時はきっとナミも俺よりナミにとっての『先約』たる人間にいてもらいたいだろうし。
実はこの数日で船を食べようとするワポルというわけのわからない海賊が襲ってくるという事件があったわけだけど、まぁ話にもならないおっさんでルフィたちがあっさりと撃退した……いや、まぁ正直そんなことはどうでもよくて。とにかく、俺にできることは周囲に異常が発生しないかの確認をすること、ただそれだけ。
だから、行かない。
行かないようにしている。
たまに顔をだして、ナミが辛そうにしている姿に無力感を味あわされるという数日を送っている。
子供のころはナミと二人で海を冒険しようと思っていたんだから俺も最低限の医学をかじっているべきだったかもしれない。ただナミを守れるくらいに強くなることばっかり考えて、本当に情けない。
「……っ」
我ながら情けなさ過ぎて自分に舌打ちしてしまう。
なんとなく首をめぐらせて、丁度後ろに目を向けて――
「……」
「……」
――目があった。
なぜか、サンジがそこにいた。
「よぉ」
「お、おう」
いきなり現れてきた人物に声をかけられたせいで、少しだけ慌ててしまう。サンジがこんな夜の時間にも起きているというのはなんとなくわかる。たぶんビビのナミへの介護に付き合ってたんだろう。
けど、それでわざわざ俺のところの来る意味がわからない。思考が追い付かず首をかしげていると、サンジが俺を押しのけるようにして見張り台に座ってきた。状況としてはルフィと背中合わせで見張りをしていた時と同じような状況だけど、はっきりいってサンジが好き好んで男と背中合わせをするとは思えない。
いや、もちろん俺もルフィも男と好き好んで背中を合わせたりすわけじゃないけど、サンジだと特にそういうのを嫌がりそうなものだから違和感がある。
「何か用か、サンジ」
「用がなきゃおめぇのとこに来るかよ」
ま、そりゃそうだと妙に納得してしまうのは俺もサンジのことを少しづつだけどわかってきたということなのか。
煙草をふかしながら、なぜか不機嫌そうに言うサンジが、そのまま言葉をつづける。
「交代だ」
「……え?」
サンジの言葉の意味がよくわからなかったため聞き返すと「――交代だ!」と、キレてんの? と言いたくなるぐらいのテンションで言い返されてしまった。サンジの機嫌の悪さも理解できないけどいきなり「交代だ」といわれる意味もわからない。
サンジはたまに俺に代わって夜の見張
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