ALO編
記憶なき者@
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装着した。
「準備はいいか?」
「いつでも!」
「それじゃあ、スタート!」
親父がスイッチを押すと、キィインと起動音がし、しばらくして音は静かになった。
「よし、まず立ってみろ」
「・・・ああ」
正直、成功するとは思えない。しかし、少しでも可能性があるなら───。
腕に力を込める、そして───。
「フンッ!」
体を車椅子から離した、すると俺の体はしっかりと自分の足で支えられていた。
「・・・できた」
「成功、した・・・」
トレーナーも驚きを隠せずにいた。親父も拳を握りしめている。
「やった、やったよ!!」
「ああ!じゃあ次は歩いてみろ」
「わかった!」
俺は右足をゆっくりと前に出す、次に左足、右足と着々と歩みを進める。
「いける、いけるよ!!って、おぁ!?」
部屋の中央までいくと急に力が入らなくなり、その場に倒れた。
「雪羅さん!」
「雪羅!大丈夫か!?」
「あ、ああ、大丈夫。でも、親父・・・」
「ああ、成功だ!」
俺は仰向けになると、
「もう少し、改善が必要かな?」
「だな、バッテリーと間接部の改善」
「あとは、軽量化かな。歩けるとしても、まだ少し重いかな」
「そうか、分かったそこも改善しよう」
「親父」
「何だ?」
「・・・ありがとう」
「ああ・・・」
俺は親父にそう言うとリハビリをするために車椅子のタイヤに手を掛けたその時。
「ッ・・・」
頭にピリッとした痛みが走る。ここ最近ずっとである。
『また、この頭痛か・・・』
「どうしました?」
「・・・いえ、何でもないです」
俺は悟られぬように、笑顔で答えた。
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夕方、俺はリハビリを終えて自分の部屋へと向かっていた。
エレベーターを降りると、ある病室に見慣れない人物がいた。
『親戚、かな?』
スーツを着て、眼鏡を掛けた男性は幸子さんと何か話していた。
話が終わったのか、スーツの男性が部屋を出ていった。
「あの、幸子さん?」
「あら、雪羅君。リハビリは終わったの?」
「はい、あの、さっきの人って・・・」
「あら、覗きなんて趣味が悪いわね♪」
「偶然ですよ、それより・・・」
「施設に移らないかって、言われたわ」
「施設?」
「ええ、ここよりいいところがあるって紹介されたの。断ったけどね」
「そうですか・・・」
時刻は夕時、病室には夕日が差し込んでいた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
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