『"Cannibal Candy"』
#5
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んなっ!?」
ニヤリ、と笑って手を差し伸べてくるクロス。フェリクスのそれとは百八十度真逆な、どストレートな誘いに、シャルは柄にもなく狼狽してしまう。
「ななな、何言ってるのよ!」
「どうせ俺かライシンのあたりでも囮にして、カニバル・キャンディをおびき出そうとしてたんだろ。なら一石二鳥じゃないか」
「うっ……」
どうして考えていたことがばれているのだ……。そんなことを思いながら、黒い瞳を睨んでみる。
「……いいわよ。デートしてあげても」
「言ったな。前言撤回は無しとする……それじゃ、明日の放課後、校門の前に集合だ。街に出るぞ」
「はぁ!?」
ちょっとまて、と叫びたくなってしまう。《魔力喰い》は学院内にしか現れないのだ。ならば学院の外に出てしまっては無意味ではないか。それに……
「学院の外に出たら、シグムントが……」
肩の上に泊る銀色の小龍を見る。自動人形は、原則として学院街には持ち出せない。学院生の行内での問題沙汰を抑えるためだ。
「なんだ、デートなのにオートマトンはいらないだろう。俺のラジエルも置いて行くからな。……いいだろう?シグムント」
「うむ。良かろう……楽しんでくるがいい、シャル」
「ちょっと!何勝手に話進めてるのよ!!」
どことなく面白そうなシグムントに怒鳴ってしまう。「決まりだな」、と言うと、クロスは立ち去って行った。
「ちょっと……」
後には、呆然と立ちすくむシャルが残された。
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