『"Cannibal Candy"』
#5
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だった。
「フェリクス!」
ドアを開いて、一人の女子生徒が入ってきた。メガネをかけた桜色の髪のその生徒は、ライシンとクロスに気付くと、「失礼しました」と頭を下げた。
「風紀委員主幹補佐、リゼット・ノルデンです」
「そんなに急いで、君らしくもないね、リズ。《カニバル・キャンディ》でも出たのかい?」
フェリクスは冗談で言ったのだろうが、しかしリゼットと名乗った少女は、真面目に首を縦に振った。
「技術科裏で、壊れた自動人形が発見されました」
***
クロス達が技術棟の裏に行くと、すでにそこには人だかりができていた。その中に、良く目立つ金髪の少女を発見し、クロスは声を掛ける。
「よう、シャル。シグムントも一緒か」
「君も来ていたのかい、シャル」
フェリクスの言葉に、シャルは少々頬を赤く染めながら答えた。
「騒ぎになってたから……」
なんと上目使いまで見せている。ほほーう、と思わずにはいられないクロス。
「なんだ、知り合いか?」
ライシンが問うと、フェリクスは苦笑しながら答えた。
「僕は彼女をずっとデートに誘ってるんだよ。断られ続けてるけどね」
「ほほう。ならば君は俺の恋敵だという事かな」
クロスはフェリクスをからかってみる。ついでにシャルも動揺している。面白い。
「事件のカタが付いたら、また誘わせてもらうよ……ライシン、クロス、こっちだ」
フェリクスとともに、立ち入り禁止のテープの向こうにわたる。自動人形は足から下を粉々に壊され、魔術回路を抜き取られているようだった。
「ひどいな、これは……」
ライシンと共に合掌。自動人形の冥福を祈る。後ろでシグムントが感心していたのには気が付かなかったが。
「……ライシン、こいつは昨日の鉄球使いだ。ほら、シャルに一番最初に攻撃した……」
「ああ……」
ライシンも納得したようにうなずく。破壊されていたオートマトンは、シャルとの対戦に乱入してきた自動人形のうちの一体だった。ふとシャルの方を見ると、彼女は足早に去って行くところだった。
「……事件現場を見て、じっとしてはいられなくなったんだろう。かく言う僕も、はらわたが煮えくり返る思いさ……力を貸してくれないか、ライシン、クロス」
「……いいだろう」
「わかった」
頷きながらも、しかしクロスはじっと去って行くシャルを見つめたままだった。
***
「シャル」
聞き覚えのある声に足を止め、振り返る。そこに立っていたのは、白い髪の東洋人……言うまでも無く、クロス・スズガモリだ。目の色は今日は黒。
「……何の用?」
「いや何。……デートのお誘いでもしようかと思ってね」
「
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