番外中編
蒼空のキセキ
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手の爪と、私の大剣のぶつかり合う衝撃。
そして訪れる、体を襲う衝撃に備えて、
「ぱーたれがっ!」
真横からの衝撃が、私の体を横っ飛びに吹き飛ばした。
◆
「油断いち。ソラ、てめーの剣は?」
「はいっ! 二か月前にクエストで獲得したやつっ!」
ソラ、と私を呼ぶ彼は、ひどく眉根にしわがよっていた。もー、イケメンがだいなしだ。眠たげな眼をもうちょっとぱっちりさせて、ぼさぼさの黒髪をきちっとして、不健康丸出しな顔色をお化粧かなんかでごまかして、顔のパーツを少しばっかし修正したらなかなかイケメンだと思えるのだが、彼はなかなかにそれをさせてくれない。
「強化は?」
「あんまりしてないっ! シドが素材とってきてくれて以来だよっ!」
彼の名は、シド。私の所属する……というか、リーダーを務めるギルド、『冒険合奏団』のメンバー。ちなみに私の中では諜報部隊のトップであり、特別作戦顧問であり、特攻部隊副隊長だ。あ、特攻隊長は私ね。
そんなことを考えていると、彼の額の青筋がぴくっと動いた。
「足りるわけねーだろうが! 最前線から二層しかちがわねーんだぞ! 二か月前の装備がそのままで使えるか!? そもそも今日は両手槍つかうって言ってたろーが!」
「いやいや、あの剣もなかなかの業物だったじゃんっ? いけるかなーっ、いけるんじゃないかなーっ、て思ったらっ!」
「思ったら?」
「試してみたくなっちゃってっ! てへっ……あ、いったぁっ!」
ぺしり、と頭をはたかれた。
《圏内保護コード》の発動しない絶妙な強さでの一発は、それでもそれなりにはイタイ。まあイタイで済む程度であるが、それでもはたかれたボケ側としては痛がるのはツッコミに対する礼儀であり、万国共通の不文律なのでそれに従う。
「うー……でも、私無傷だったしっ。一発くらい喰らっても平気だよっ? ブラックマさんの攻撃ならノックバックもないくらいだよっ?」
「その油断がダメだっつってんだ」
「シドが喰らうより全然ダメージ少ないよっ?」
「っ、それは言うなっ!」
ちょっとばかしの反撃を加えたら、思った以上の効果だった。あの時に彼が私に使ったのは、《体術》のソードスキルである《ムーンサルト・フライ》。相手を蹴って宙返りをするというなかなかにカッコイイスキルなのだが、《体術》に加えて《軽業》技能も必要であり、一朝一夕では身につけられるものではない。残念だ……ではなくて、あのスキルの利点は攻撃した相手から距離がとれる……すなわちカウンターを受けにくくする効果があり、応用すればあのときのように「最低限のダメージで味方を弾き飛ばしてピンチを救う」ということができる。
……のだが、
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