第五十五話 百鬼夜行その八
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「ですから」
「楽しくですね」
「私達も歩けばいいんですね」
「お喋りをしたりお菓子を食べたりしながら」
そうしてだというのだ。
「一緒に行きましょう」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「じゃあ私と一緒にいてね」
茉莉也が二人に言ってきた。
「離れないでね」
「離れたら何かあります?」
「はぐれたりしたら」
「迷うからね、広い学園だから」
夜の学園にだというのだ。
「だからね」
「はぐれない様にですか」
「注意して」
「そう、そうしてね」
こう二人に告げる。
「何なら手を握ってもいいから」
「それは幾ら何でも」
「保護者じゃないんですから」
母親と小さい子供だ、二人は茉莉也の今の言葉には苦笑いで返した。
「そこまでは」
「しないですよ」
「冗談よ、冗談」
茉莉也自身笑って返してきた。
「まさかと思うけれど真に受けてないわよね」
「はい、それは」
「私達にしても」
わかっていると返す二人だった。
「最初からそのつもりですから」
「安心して下さい」
「そういうことね、それじゃあね」
その軽い冗談の後でだった、茉莉也はあらためて周りを見回した。二人も茉莉也と共にそうしたが見回してみるとだった。
「行くけれど」
「本当に一杯いますね」
「百じゃ効かないですね」
「ええ、うちの学園の妖怪さんや幽霊さんは皆いるわ」
見れば雪女の一家もいる、赤鬼や青鬼もだ。野球グラウンドの幽霊もいれば空手部の先生もいる。とにかく皆揃っている。
そして博士もいる、愛実は博士の姿を見て聖花にこう囁いた。
「博士もひょっとして」
「妖怪とか?」
「そうなってるとか?」
「そう言われると」
「有り得るでしょ」
「ええ、あの人は」
何しろ百五十歳を超えているらしい、それではだ。
「仙人って噂もあるし」
「それならね」
「博士はね」
茉莉也も博士とは馴染みだ、それで二人に話せた。
「私も時々そう思うから」
「仙人ですか」
「そういった人かってですね」
「ええ、まあ妖怪さんと仙人は本来は違うけれど」
「それでもですか」
「博士の場合は」
「まあ妖怪さんから仙人になることもあるし」
そうした仙人もいるというのだ。
「人間からなるとは限らないからね」
「あっ、そうなんですか」
「妖怪さんからもですか」
「妖怪さんと仙人はまた違うものだけれど近いところもあるみたいなのよ」
茉莉也は二人にこのことも話した。
「その辺りはね」
「そうですか、近いんですか」
「妖怪さんと仙人は」
「それで妖怪さんから仙人になることもあるんですね」
「そうなんですね」
「そうよ、封神演義にあるじゃない」
茉莉也が話に出すのは中国のこの小説だった、殷から
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