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ヘタリア大帝国
TURN128 ヒムラーの誤算その十二

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「あの男はどうもね」
「権限を与えない方がいい」
「貴女にとって危険よ」
「そしてドクツにとっても」
「そうだろうか、だが副総統として権限は与えずだ」
 レーティアはまだヒムラーの危険さには疑問だった、しかし信頼する二人の言葉を受けてこう言うのだった。
「後継者も他の者にしよう」
「ではその後継者は」
「誰がいいか」
「その時に話す」
 然るべき時にだというのだ。
「戦後にな」
「そう、じゃあね」
「あの男でなければいい」
「実際に私は既に見つけている」
 エルミーの乗艦ファルケナーゼ、今は戦闘中でないので姿を見せているその潜水艦を見ながらの言葉だった。
「私に忠誠を誓ってくれるだけでなく必死に努力をしてあらゆることを学んでくれる者がな」
「ではその人になのね」
「後を託すか」
「そうする、私も永遠に生きられはしない」
 人は必ず死ぬ、それで言った言葉だ。
「その後は考えておかねばな」
「ドウツの次の総統ね」
「相応しい者がいるならだ」
「うむ、そうしよう」
 こう話すのだった。そのファルケナーゼの中ではエルミーが自身の部下達にこうしたことを言われていた。
「あの、司令近頃ですが」
「軍事や技術だけでなく政治も学ばれていますね」
「それに経済も」
「そうした政治家の仕事も」
「はい、さらに総統のお力になる為に」
 まさにその為にだというのだ。
「政治のことも学び」
「その為にですか」
「そうしたことも学ばれているのですか」
「そうです」
 こう部下達に答える。
「そうしています」
「ううむ、司令は勉強家ですね」
「いつも思いますが」
「人生は常に勉強です」
 優等生的だが正論で返すエルミーだった。
「そして学んだことが総統閣下、ドクツの為になりますので」
「それ故にですか」
「司令は」
「政治も身に着けます」
 絶対にだというのだ。
「そうします」
「そうですか、それでは頑張って下さい」
「総統、ドクツの為にも」
「そうします」
 こう応えるエルミーだった、レーティアはその彼女を見ていた。そしてそこに自分の跡を継げるものを見出していた。


TURN128   完


                          2013・8・8
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