TURN128 ヒムラーの誤算その七
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「だから急ぐんだ」
「あの連中を揃えて」
「そうして」
「すぐに起こすんだ」
こう言って彼等も急がせる、そして。
側近の一人が部屋に来た、そして言うことは。
「法皇、港の準備が整いました」
「俺達の艦隊はか」
「はい、何時でも出港出来ます」
「連中の用意は」
ヒムラーは周りに問うた。
「そちらはどうだい?」
「はい、今整いました」
「コントロールの用意が」
「よし、じゃあね」
ヒムラーも納得する顔で頷く、そしてだった。
すぐにだ、彼等は官邸を後にした。この際ヒムラーは自分の手袋をしている左手を見て忌々しげに言った。
「迂闊だったよ、あの娘が出た時に」
「石を使えばですね」
「その時に」
「ああ、これまで俺の話術だけでいけたからね」
ドクツの総統でいる間はだ。
「エイリス、ソビエトとの会談の時は使ったけれどね」
「ドクツ国民にはこれまで上手くいっていました」
「それが為にですか」
「慢心していたよ」
その為石を使ってこなかったというのだ、総統でいる間は。少なくともヒムラーにはそれだけの政治力、演説の才があるのだ。
だが、だ。それが為に慢心しているが故にだったのだ。
「全くね、けれど」
「連中にはですね」
「そのお力を」
「うん、使うよ」
手袋越しに右手で左手の甲を摩りながら応える。
「今度こそね」
「あの時は使い損ねましたが」
「今度こそは」
「ドーラ様のこのお力を」
まさにそれをだというのだ。
「使うよ」
「では」
「今から」
「行こう、港に」
こう言ってだ、そのうえで。
ヒムラーは側近達と共に港に着いた、そこで彼の乗艦に乗り込み。
宇宙に出た、そしてまずはだった。
自身の前にいる艦隊を見た、その艦隊はというと。
「数は百個か」
「はい、それだけ造ってきました」
「ドクツと同盟国、実質に属国の総力を結集させて」
「よくやってくれたね」
部下達を労う、彼等にはそうしたものを見せるのだった。
「しかもこの連中は自己修復能力も持っている」
「ガメリカもとんでもないものを開発しましたね」
「敵に回せば恐ろしいです」
「しかし今はこちらのものです」
「我々の力です」
「うん、この機械の百個艦隊なら」
自己修復能力も持つ彼等なら、というのだ。
「如何に枢軸軍といえどもね」
「勝てます」
「絶対に」
「しかもサラマンダーもヴァージニアもあるんだ」
彼等の切り札、しかも二つあるというのだ。
「俺の石を機械だけでなく枢軸の連中にも見せれば」
「必ずですね」
「我々が」
「そう、勝てる」
必ずだというのだ。
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