暁 〜小説投稿サイト〜
二つの意地
第三章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
権藤は彼より早く立ち直っていた。そして阿波野がロージンを持っているのに気付いていた。
「まだ投げるつもりか。ならいい」
 彼はそれを見て仰木のところに行った。
「阿波野は続投です」
「続投か!?」
 彼は丁度この時替えようかと考えていたのだ。
「まだ目は死んでいません。これからはそうそう打たれませんよ」
「そうは思わへんがな」
 彼は顔を曇らせていた。
「ここは阿波野に任せて下さい。あいつ以外には今日のマウンドは務まりませんよ」
「そう言うけれど今日はな」
 何としても勝たなければならない、そう言おうとした。
「わかってますよ」
 だが権藤はそれよりも前に行った。
「ですから阿波野に投げさせるのです。ここで交代させてもそのピッチャーが打たれます」
「そう言うけれどな」
 権藤はここでは何も言わなかった。だがスッと顔を右に傾けた。
「!?」
 するとそこにはベンチに座る選手達の顔があった。当然そこには控えのピッチャー達もいる。
 見れば皆顔が硬かった。明らかに疲れが見える者もいた。
(こういう試合やからか)
 仰木はそれを見て思った。今日は優勝への大きな足掛かりとなる試合だからだ。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ