第三章
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権藤は彼より早く立ち直っていた。そして阿波野がロージンを持っているのに気付いていた。
「まだ投げるつもりか。ならいい」
彼はそれを見て仰木のところに行った。
「阿波野は続投です」
「続投か!?」
彼は丁度この時替えようかと考えていたのだ。
「まだ目は死んでいません。これからはそうそう打たれませんよ」
「そうは思わへんがな」
彼は顔を曇らせていた。
「ここは阿波野に任せて下さい。あいつ以外には今日のマウンドは務まりませんよ」
「そう言うけれど今日はな」
何としても勝たなければならない、そう言おうとした。
「わかってますよ」
だが権藤はそれよりも前に行った。
「ですから阿波野に投げさせるのです。ここで交代させてもそのピッチャーが打たれます」
「そう言うけれどな」
権藤はここでは何も言わなかった。だがスッと顔を右に傾けた。
「!?」
するとそこにはベンチに座る選手達の顔があった。当然そこには控えのピッチャー達もいる。
見れば皆顔が硬かった。明らかに疲れが見える者もいた。
(こういう試合やからか)
仰木はそれを見て思った。今日は優勝への大きな足掛かりとなる試合だからだ。
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