TURN128 ヒムラーの誤算その六
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「もうすぐここに来るんだな」
「はい、間もなくで」
「サラマンダーも届きます」
「急がせるんだ」
それでもだとだ、必死の顔で言うヒムラーだった。
「そしてヴァージニアもだよ」
「あれも出してですね」
「そうして」
「そうだよ、枢軸軍を倒して」
そしてだというのだ。
「ドーラ様の世界にするんだ」
「その為にも絶対に」
「ここはですね」
「そうだよ、使えるものは全部使って」
つまりカードを全て出してだというのだ。
「戦って勝つんだよ」
「サラマンダーのコントロールは」
「生贄の娘をこれでもかと用意するんだ」
犠牲も厭わないというのだ。
「そしてね」
「はい、そしてですね」
「さらに」
「コアのコントロールは」
「万全です」
「チェックしました」
「よし、ならいい」
このことも確認された、だがだった。
彼等は本質的に軍事や技術のことでは専門外であることを忘れていた、そのうえで生兵法を繰り返していたのだ。
そのうえで必死にしていた、そのうえで。
表向きには総統を迎える為と宣伝していた、しかしそれもだった。
「何時までも出来ないからな」
「そうですね、あの娘が来たら」
「それでタイムリミットです」
「その通りだよ」
だからだというのだ。
「急ぐんだよ」
「はい、わかっています」
「そのことは」
「副総統に収まっても」
一見すると地位はいい、しかも今の彼は表向きはレーティアが留守の間国家を守った功労者である。だがそれでもなのだ。
「ドーラ教は栄えさせられない」
「しかも法皇はあの宣伝相に警戒されています」
「どうやら軍からも」
「エルにもね」
ロンメル、士官学校の同期である彼もだというのだ。
「あいつは俺のことを信じたいみたいだけれどな」
「それでもですね」
「法皇のことを知れば」
「あいつはドクツの人間だよ」
完全にそうだ、だからこそだというのだ。
「俺を除こうとする」
「ドクツの為に」
「絶対に」
「俺はドーラ教の人間だよ」
あくまでだ、彼はそれだというのだ。
「ドクツ生まれだけれどね」
「だからこそ我々の法皇です」
「そうですね」
「その俺がどうしてドクツの副総統になれるんだ」
ドーラ教徒、それ故にというのだ。
「ドクツでも何処でもいいんだよ」
「ドーラ教を栄えさせられるなら」
「ドーラ様に尽くせるのなら」
「そうさ」
まさにその通りだというのだ。
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