暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
ヘルヘイム編
第3話 vsデューク! 小さすぎた力
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ち上げる。

『あわっ…わ、わ、わ、わ!』
『ごめんよ』

 デュークはロッドごと月花を放り投げた。月花は二度(ふたたび)地面を滑って転がった。
 バロンが入れ替わりにバナスピアを突き入れたが、デュークはこれも難なく躱し、返す弓の二撃であっさり勝負を決めた。



……

………

 負けたのが悔しいとは思わない。だが、あの凶悪なほど強大な力を持っているのが、よりによって戦極凌馬であることは――

 ――“そのベルトは()()()()()()()んだよ?”――

 咲はぶるりと震えて両肩を自ら抱いた。
 ベルトを返す時に添えた手紙に「貸してください」と書いたのは失敗だったかもしれない。これからも「レンタル料」と称して凌馬に戦いを強いられるとしたら。

 一度は仲間にも言われた。もうビートライダーズ同士で争うことはないのだから、戦極ドライバーも手放していい、と。そこに咲への労りと感謝が込められているのはちゃんと知っている。
 それでも力を手放せないのは――

(紘汰くんと戒斗くんが戦ってるのに、あたしだけ先にリタイヤしちゃいけない気がする)

 街を守っている紘汰。巨悪を暴こうとしている戒斗。どちらにも背を向けられないほど、咲も深く事情を、そして彼らの為人(ひととなり)を知っているから。

 思考の整理はついても心の整理はつかないまま、咲は前を見て、今度こそ家路を急いだ。
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