決戦2
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はあと三十分も持たない』
クラナフ大佐の艦船全体へ向けた通信に、誰もが小さく息を飲んだ。
『この通信は一方的に送信している。私もすぐに……』
爆音。
『すぐに現場に戻る事になる。前線基地のマクワイルド少尉が持ちこたえてくれているが、時間はない。できれば――すぐにでも救援をお願いしたい』
それは真っ直ぐな願い。
『この通信は、おそらくは最後となる。貴殿らの武運を――そして、我らの武運を祈ってくれ』
一方的に送られたメッセージは、やはり一方的に切断された。
息を飲んだ兵士の視線が集中する。
それら出撃が可能かどうか、最終的な決断を任されているこの機の機長である彼女の背に。誰もが出撃したいと思っている。
だが、冷静な頭がそれを許さない。
通信が入る前と変わりがない。
「大尉――」
「ええ。わかっているわ。確信が欲しいっていったわよね、私も確信がなければ動くつもりはない。でも」
コンソールを叩き、エンジンが動き出した。
伝わる振動に、副操縦席の男が目を開く。
その目の前で唇をゆっくりとあげながら、彼女――ミシェル・コーネリアは笑った。
「あのアレス・マクワイルドが、援軍を待ちながら敵の高射砲を許すわけがない。それは、確信よ」
大丈夫だと思う。
その想いが、身体に伝わって、次々と出撃の準備を整えていく。
『A−03爆撃機。出撃します』
呟いた言葉に、外周部では出撃に向けて兵士達がせわしなく動き始めた。
アラームが鳴り響き、出撃のランプが点灯する。
コンソールのスイッチを次々にあげていけば、諦めたように副操縦席の男が補助スイッチをあげていく。
「はぁ。撃墜されたらデートでも付き合ってくださいよ。コーネリア大尉」
「幾らでもね」
きっと、彼の名前が出てこなければコーネリアは動けなかった。
そして、何も出来ない自分を攻め続けていたことだろう。
だが、いまは違う。
彼を知っている。
だからこそ、確信できる。
あの雲の下で、今も待っているであろう彼を。
「待ってなさい。今度は私が助けてあげる」
小さく呟いて、コーネリアは小さな笑みを浮かべた。
ほんの――少しの事。
たった一人の歴史が変わる、たったそれだけのこと。
だが、この時、確かに歴史は変わった。
+ + +
左翼の反撃がなくなって、それまでの倍する攻撃が前線基地に集中した。
雨のように着弾する爆撃に、反撃を許さない。
その間隙を抜く様に、敵の歩兵たちは押し寄せる。
こちらの砲弾は休むことなく、吐き続けていた。
「迫撃砲、照準を変えます!」
「駄目だ。敵の高射砲が再び集結し始めている。そこを」
「しかし、このままでは!」
「しか
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