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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第51話 「男子の名前」
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振り上げる。

「これからの新しい帝国を作り出すのは、君たちなのだからなっ!!」

 絶叫にも似た声を腹の底から搾り出す。
 この様な声を自分が出せたなどと、今の今まで知らなんだぞ。
 絶叫の後、アマーリエの拍手が会場に響いた。
 妻の賛辞がなによりの励みだ。わたしは間違ってなどおらぬ。妻が拍手しながら近づいてくる。
 わたしに向かい、頷いた。
 席を譲ったわたしに笑いかけてから、子どもらに向き直る。

「ブラウンシュヴァイク家は、あなた達が学ぶための準備をしました。成績優秀者にはオーディンの帝国大学にも進学させましょう。我こそはと思うのなら、努力しなさい。もし仮にここにいる全員が優秀となったなら、全員通わせても良いのです。狭き門と思わず、精進しなさい」

 わたしと時とは違い、妻のアマーリエに対する歓声の方が大きい。
 まあ、むさくるしい親父が声を張り上げるよりも、見目麗しい女性の方が人気が出ても仕方あるまい。

「あなた、この様な場所で、そんな事は言わないようにしてくださいな」

 ぼそっと呟いた言葉を聞かれてしまったらしい。
 慌てて周囲を見てみると、誰もが笑いを堪えている。いかん、惚気と受け止められてしまったようだ。

 ■リッテンハイム領 ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム■

「見ろ。このローゼン・○ールを。いずれは諸君の代表者が、これに乗ってザ○・ファイトに出場するのだ」

 紫色の機体が日の光を反射して煌いている。

「貴族? 平民? 農奴? そんなもの関係ないっ!! さー諸君、実力を持って、こいつを手に入れるのだ!!」

 銀河最強はこのリッテンハイム領だ。
 そう声を張り上げる。
 ザ○の方が良い?
 練習用のザ○はいくらでも用意してやるわー。
 妻のクリスティーヌが呆れたような表情を浮かべていた。
 どうしてこうなった?
 最初は学問の必要性、重要性を語り、次には彼らの将来について語っていたというのに……。
 勢い余ってしまった。
 ええい。もはや引けぬ。引けぬのだ。
 リッテンハイムは銀河最強を目指す。

 ■オーディン フリードリヒ四世■

 ルードヴィヒとアレクシア、そして誕生した赤子を乗せた地上車がオーディンの街中を走っていく。パレードじゃ。
 歓声の声が大きいのー。
 ちっ、息子の人気には腹は立たぬが、わしに仕事を押し付けている事には腹が立つわ。
 しかも隠れた人材を掘り起こすのに、なぜわしが面談せねばならぬのじゃ。
 予は皇帝じゃぞ。
 立っている者は親でも使えというが、皇帝に対する敬意がまったく感じられぬわ。

「のう。そう思うであろう」
「さようですな〜」

 おのれー。リヒテンラーデの投げやりな事と言ったら、ルード
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