第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十三話 読心の瞳
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いたらさとりとこいしが何やら笑いを堪えていた。
「君と問答するつもりはないから、僕の質問にだけ答えてね」
僕の問いに男は首を縦に数回振ったのを確認すると質問を始める。
「君達は一体何処の誰なの?」
「お、オイラ達はや、柳杉屋の者なんだな」
男が言うには柳杉屋は南の都にある大手の廻船問屋で海路だけでなく陸路の業務も取り仕切っているそうだ。ただ裏では人や妖怪の売買や違法薬物、禁止指定術魔具の販売・製造に暗殺業まで行いっている、との事らしい。
「そ、それにオ、オイラ達の後ろにはひゃ、百鬼丸様もいるんだな!お、お前達なんかすぐにこ、殺されてしまうんだな!」
男は「さぁ慄け!」みたいな感じでそう叫ぶが、
「…その百鬼丸って一体誰なの?」
僕がそう聞き返すと何やら落胆したみたいな顔をしながら説明を続ける。
「…ひゃ、百鬼丸様はお、鬼の頭領な、なんだな…」
その百鬼丸というのは鬼の一族を率いる頭領で鬼以外の手下も傘下に加えている裏では結構な大物らしい。僕が知らないという事は割りと最近勢力を伸ばしてきた輩なのだろう。
柳杉屋と百鬼丸は取引相手であり此処にいる妖怪達はその一派らしい。柳杉屋が業務で稼いでいるのは百鬼丸の手下達が護衛し他の妖怪から守っているから、その代わりに百鬼丸が望む物を献上する仕組みという事らしい。そこまで聞いて僕は一つの疑念にかられる。
河童、天狗、鬼という妖怪は種族数が多く一般によく知られている。特に河童は人に対して友好的な妖怪の筆頭だ。
そして鬼はある意味一番有名とも言える、豪胆にして無類の酒好きで?を嫌う。言い方を変えれば単純明快なのだ、その鬼がこんな裏でこそこそするのがどうも信じられない。僕自身何度か鬼とはやりあったりしているから尚更そう感じる。まぁ今はそれは置いておこう。
「それでさとりとこいしを攫ってきた本当の理由はなんだい?」
この男は商品と言った、でも馬車を引いていた三人組は人質とも言っていた。僕の問に答えたのは男ではなくさとりだった。
「私達の姉を無力化する為でしょう。彼等が欲しがっているのは私達が住んでいる土地の筈ですから」
「土地?」
僕が聞き返すとさとりが詳しく説明をしてくれた。彼女達が今住んでいる土地はかなりの霊地で今まで何度か人間や妖怪の襲撃を受けた事があり、その都度彼女達の姉(正確には実姉ではないそうだ)に撃退されているそうだ。相当な実力の持ち主らしい。
「で、でもあいつはもうお、お終いなんだな!だ、旦那様が七枷神社のか、神にあいつの討伐の依頼に行ってる筈なんだな!い、今頃消されてる頃なんだな!」
男がそう叫ぶとさとりとこいしは話の内容に驚愕していた。まさか神を引っ張り出してくるとは
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