第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十三話 読心の瞳
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「…娘さんを人質に取られている、ですか」
突然さとりがそう言葉を発し、綺羅は弾かれたように顔を挙げ何故分かったのか、みたいな目でさとりを凝視した。視線を向けられたさとりは少しばつが悪いみたいな表情をしながらポツポツと語りだす。
「いきなり失礼しました。私は、いえ私達姉妹は覚妖怪という種族で心を読む能力を有しているんです。勝手に心を読んでしまい申し訳ありません」
そう言って頭を下げるさとりに綺羅は何も言わずどうしていいか分からない、といった感じだ。
「へぇー読心能力か、便利そうだね」
僕がそう言うとさとりとこいしは何やら呆気に取られたみたいな表情をし、ルーミアが呆れた様に声をかけてくる。
「便利ってあんた…こう言うと二人に悪いけど勝手に心を読まれていい気分なんてしないでしょ?」
「そうかな?僕は別に気にしないけどね」
「…あんた能天気だものね、何も考えずに口に出しそうだし」
「アハハハ非道いなー。逆にルーミアは素直じゃないよね…あぁそうだ――――ねぇ僕の事好き?」
僕が唐突にそんな事を言うとルーミアは『こいついきなり何言ってんの?馬鹿なの死ぬの』みたいな表情をするが、
「えっとね、憎からず思ってい―――――」
と、こいしが口を開いた瞬間、
「あんた!何を言おうとしてるのよッ!」
と怒鳴りこいしを黙らせ、怒られたこいしは「きゃーこわーい♪」と言って笑いながら僕の後ろに隠れる。
「ごめんねこいし、彼女はちょっと、いやかなり短気なんだ。でも大丈夫だよ取って喰われたりはしないから、多分ね」
「…お兄ちゃんって面白いね、本心からそう言うなんて。普通は思ってる事と口にする事って少しずれてるものなのに…」
こいしは僕を見ながら不思議そうにそんな事を呟き、さとりの方に視線を向けるとこいしと同じ様な表情を浮かべている。ちなみにルーミアから「後で憶えてろよ」みたいな視線を送られているけど今は無視だ。
僕は突然始まった漫才?に置いてけぼりをくらっている綺羅に声をかけた。
「ごめんねいきなり、とりあえず人質を取られているんだね」
綺羅は急に声をかけられて一瞬慌てたがはっきりと首肯した。
「何処に捕われているとかは分かってるの?」
「いえ、まったく…」
綺羅は表情に影を落とし悔しそうにそう言った。捕まった詳しい経緯は後でもいいだろう。
「…なるほどね、まぁとりあえず詳しい事は彼に聞こうか」
僕はそう言って気絶して倒れたままになっている男に近付くと胸倉を掴み上げ男の頬を強めに数回叩く。
暫くして男が意識を取り戻し声を上げようとしたので刀をちらつかせ黙らせた。何かやってることが悪者っぽいな、何て事を考えて
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