暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
Ex2.異質なその人
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
その人が言ったことは、あたしにもレイアにもチマにも解らないことだ。
 逆にあたしの思う一番怖いものを想像してみた。……ぬ、思いつかない。
 怖い物は確かに有るにはあるけど、そこまでかと言われるとそうでもない。

「…………」

 レイアもチマも、その人の言った言葉を自分なりに考えているようだ。

「……あ」

 いきなりその人は、あたしたちに背中を向けて、別れの言葉もなしに歩いて行ってしまった。
 背中を向くときにチラリと見えたその人の横顔。最初の平然とした顔ではなくて、申し訳なさそうな、どこか寂しげな表情に見えた。
 やや早足で歩き去るその人の背中を見つめるあたし。

「…………ネリー」
「……行っちゃったッスね」

 ネリーが呼びとめた理由なんとなく解ったッス、と言ってくれるチマ。
 その言葉に、レイアも小さく頷いた。















「〜〜〜〜〜っ、さて! これからどうするッスかね!?」

 暗い雰囲気を無理矢理吹き飛ばそうとしているのか、大きな声でチマが言った。

「…………うん。そうだね……」

 レイアも、さっきよりは顔色が良くなったようだ。
 あたしも人の事は言えないかもだけど、レイアもチマも、先ほどの顔の青さといったらなかった。

「ん〜〜〜〜〜〜〜」

 あたしは腕を組んであたりを見回した。
 気が付けば、中央広場からは結構人が減っていた。……それでも残って放心している人が圧倒的に多いけど。

 あたしはさっきからずっと考えていた。あの人の言った《今、自分に出来ること》というものを。

「ねぇ」
「……?」
「なんスか?」

 だから――あたしはその提案を、未だ眉間に皺を寄せて唸ってる二人に言った。

「――街の外に出て、モンスター……倒してみない?」

 予想通りというか、その提案に二人は目をまん丸にして驚いていたので、こんな状況だっていうのにあたしはつい笑ってしまった。

 そう、こんな状況だったけど、笑うことが――出来たんだ。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ