SAO編
序章 はじまりの街にて
Ex2.異質なその人
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その人が言ったことは、あたしにもレイアにもチマにも解らないことだ。
逆にあたしの思う一番怖いものを想像してみた。……ぬ、思いつかない。
怖い物は確かに有るにはあるけど、そこまでかと言われるとそうでもない。
「…………」
レイアもチマも、その人の言った言葉を自分なりに考えているようだ。
「……あ」
いきなりその人は、あたしたちに背中を向けて、別れの言葉もなしに歩いて行ってしまった。
背中を向くときにチラリと見えたその人の横顔。最初の平然とした顔ではなくて、申し訳なさそうな、どこか寂しげな表情に見えた。
やや早足で歩き去るその人の背中を見つめるあたし。
「…………ネリー」
「……行っちゃったッスね」
ネリーが呼びとめた理由なんとなく解ったッス、と言ってくれるチマ。
その言葉に、レイアも小さく頷いた。
「〜〜〜〜〜っ、さて! これからどうするッスかね!?」
暗い雰囲気を無理矢理吹き飛ばそうとしているのか、大きな声でチマが言った。
「…………うん。そうだね……」
レイアも、さっきよりは顔色が良くなったようだ。
あたしも人の事は言えないかもだけど、レイアもチマも、先ほどの顔の青さといったらなかった。
「ん〜〜〜〜〜〜〜」
あたしは腕を組んであたりを見回した。
気が付けば、中央広場からは結構人が減っていた。……それでも残って放心している人が圧倒的に多いけど。
あたしはさっきからずっと考えていた。あの人の言った《今、自分に出来ること》というものを。
「ねぇ」
「……?」
「なんスか?」
だから――あたしはその提案を、未だ眉間に皺を寄せて唸ってる二人に言った。
「――街の外に出て、モンスター……倒してみない?」
予想通りというか、その提案に二人は目をまん丸にして驚いていたので、こんな状況だっていうのにあたしはつい笑ってしまった。
そう、こんな状況だったけど、笑うことが――出来たんだ。
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