暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
Ex2.異質なその人
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メン」

 正直、二人のことをすっかり忘れていた。目の前のこの人に意識が捕らえられていた。
 こんなことになってしまって――しかもあたしが誘ってSAOに来たのに、二人には申し訳ないことをした。
 そんな気持ちを込めて、でもいきなり走ってしまった自分の奇行にちょっと照れてしまい、少し軽い謝罪になってしまった。

「…………それで、俺に何か用か?」

 思わずビクッとなるあたしたち3人。そうだった、今度はこちらを失念していた。あたしのバカ!
 その人にもすぐに謝罪をした。

「あ、す、すみません! こっちから声かけたのに……」
「……いや、それはいい。で、何か用なのか? 正直、声をかけられる覚えはないが……」

 溜め息ともつかない小さな息を吐くその人。呆れられちゃったのかな……?
 と、それは置いておいて用件、用件。えーと、うーと、あーと……。

「あ、はい。えとですね。私たち、そのVRMMOって初めてなんです。……なのに、こんなことになっちゃって。どうしていいか解らなくて……それで、その……色々と教えてくれる人を探してるんです」

 正直なにも考えていなかったのだけど、自分の口から出た言葉は結構理由としてはちゃんとしているように思う。……ふぅ、あぶないあぶない。

「…………すまないが、人選を間違えている。俺もVRMMO――いや、ゲームというもの自体これが、《SAO》が初めてだ。俺ではお前たちの疑問には答えられない」

 ――え……?

 今度は完全にフリーズしてしまった。断られる場合の言葉なんて全然考えてなかったから。
 あたしは必死に言葉を考えた。

「あ、え……じ、じゃあ、ど、何処に向かおうとしていたんですか?」

 そうだ。どこかへ行っちゃうんじゃないかって思って声をかけたんだった。
 少し、必死になっていたかもしれない。

「……武器屋だ。さっき街を回った時に場所を確認していた」

 その人の言葉に、再び一瞬思考が停止したような感覚を受けた。

「何で武器屋に……? もしかして、外に出る気なんですか? し、死んじゃうかもしれないんですよ!?」

 ありえない、そう思った。だってもしも、もしも自分の視界に映っているこの青色の横線が消えてしまったら、ホントに死んじゃうかもしれないのだから。自分でもよくわからないけど、あたしは叫んでいた。
 もしかしたら、さっきのことで溜め込んでいた負の感情が、今更になって吐き出されたのかもしれない。
 でも目の前のその人は、あたしの叫びにも顔色一つ変えずに言った。

「……茅場晶彦と名乗る者が言ったな。第百層のボスを倒さなければ俺たちは開放されないと。……だから俺は、自分に出来ることをするまでだ」

 ――自分に、出来る……こと…
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