第四十八話「過去編・渦巻く絶望」
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外に職員はいるか?」
ヴェールマンの質問に、作業員4人は俯いた。
「…………………もう、このエリアには俺達だけだ……」
「あの化け物共………この地下6階にまで降りてきたんだ………」
「そいつらに、俺達の同僚は………」
「そうか………」
ヴェールマンの落胆は大きかった。
より多くを救う。日本支部防衛が果たされなかった瞬間に決めた希望すら、容易く壊された。
救えなかった後悔と絶望。それらがヴェールマンの心に渦巻く。
そして、それは他の兵士達も同様だった。
ブランクを除いては………
ブランクは慌ただしく周囲を見回している。
何かがこのエリアにいる。それも、人間でも感染者でもない。
……………まさか……!
「司令! 彼等を守って下さい!!」
「! 分かった!」
その直後………
バギィィィィィン!!!
鉄が折れ曲がるような強い衝撃音。と同時に、装甲車両が派手に吹き飛び、転がる。
「グガァァァァァァ!! ゴガァァァァァァ!!」
「嘘、だろ?」
フィリップとブランク隊の兵士達の表情が一気に青ざめた。
ヴェールマン隊の兵士達も、怯えはないものの、驚きは隠せなかった。
突然変異種が、装甲車両を押し退けて姿を現した。
その数は7体。
「司令! 彼らを頼みます!」
ブランクが化け物共に向かって走り出した。
「まったく………また無茶しやがる……!」
フィリップも援護するために走る。
「グルァァァァァァァ!!」
突っ込んできた突然変異種の顔面を、ブランクの右ストレートが捉えた。
グチャッ
「グゲッ……ガァ…………」
原型を留めず崩れた突然変異種の頭。
後ろに振り返る際の回転を利用し、すぐ後ろにいた突然変異種に回し蹴りを浴びせる。
上顎が吹き飛び、転がる。
「ガァァァァァ!!」
鋭い爪がフィリップを引き裂こうと迫る。
「おっと!」
咄嗟に身体を右に捻り、回避する。引っ掻き攻撃が避けられ、バランスを崩す。
「食らえ」
後頭部にククリを突き刺し、地面に叩き伏せた。
「ガアァァァァァァァァァァ!!!」
ドスッ
「う…ぐぅっ!?」
仲間を殺され、怒り狂い突っ込んできた突然変異種の爪が、フィリップの左脇腹に深く突き刺さる。
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