SAO編
序章 はじまりの街にて
Ex1.残された者
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びを上げる俺。
そんな俺にお袋は続ける。
「実際にそれをして……その、亡くなった方がいるらしいの。だから、私たちは冷静に、冷静に対処しなくてはいけないの。……東雲くんのためにも。……解るわね?」
お袋は、俺の体を離して俺の目を見ながら言った。
「今からお母さんは、病院と東雲くんのご実家に連絡をしてくるわ。……いいわね。くれぐれも冷静に、ね」
俺の両肩を軽く叩いて、お袋は俺の部屋を出て行った。
俺は軽く放心しながら、東雲が寝ている布団に近寄った。
流線型のナーヴギアを装着した友人は、普通に寝ているように見える。
不意に、俺の右手が東雲の頭の方に動く。
俺の脳裏に、外しても問題ないんじゃないか、という言葉が浮かんだ。
「――ッ」
だが、俺は右手を押しとどめた。
出来ない。出来るわけがない。
「……ぅ、うそ……だろ。……なんで、こんな……」
俺は、嬉しかったんだ。
自分がゲームが好きで、人付き合いが苦手だということで、オタクと呼ばれ、ずっと虐められてて……。
あのとき、東雲と初めて視線が合ったとき。東雲は俺をいじめから助けてくれた。
その後、俺が東雲に近づいたのは、いじめっ子たちの報復を恐れたからだ。
驚異的な身体能力を持つ東雲のそばにいれば、あいつらが報復する可能性も少ないと、そんな打算があった。
でも、実際話してみてると、東雲はその斬れる様な雰囲気とは違って、意外と世間知らずで、ちょっとしたことでも感心していて……つまり、俺は東雲と話すのが、楽しかったんだ。
今までは、良かれと思ってしたこと、言ったことが全部裏目になって、ネトゲ仲間や学校のゲーム仲間ともすぐに疎遠になっていった。
だけど、東雲だけは違った。
ちゃんと俺の話を聞いてくれて、俺の愚痴も聴いてくれて、そして俺にも自分の愚痴を言ってくれた。
正直、ここまでちゃんと話が続く奴は初めてだった。
でもそんな東雲は、家が武術の道場をしているらしく、遊ぶ暇もないくらい稽古に明け暮れているという。
俺は東雲にゲームの面白さを知って欲しかった。……いや違うな。俺が、一緒に遊べる相手が欲しかったんだ。
ゲームは一人でも出来る。でも仲間でする楽しさを知ってしまったら、一人でするゲームは空しいことこの上ない。
だから、俺はずっと東雲をゲームに誘ってきた。断られると知ってはいても。
でもあの日、ついに東雲が一緒に遊べると言ってくれた。
東雲のじーさんが亡くなったっていうのは悲しかったけど、でも俺は不謹慎だとは思ったが東雲とようやく一緒に遊べることの嬉しさのほうが勝っていた。それが申し訳なくもあったけど。
東雲とSAOのことを話すのは楽しかった。あいつはゲームや機械のこと
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