暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
3.己に出来る事
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 つまり、ゲーム内でも犯罪が出来る。
 この場合――街中のような《犯罪禁止(アンチクリミナル)コード圏内》――での犯罪というものが、 どういうものなのかは俺にはまだ解らないが、どうせ寝るなら安全が最低限約束されている場所で寝たい。
 だとしたら宿屋の個室か。だとしたら宿屋に泊まる金が要る。
 宿代が一泊いくらなのかは分からないが、手持ち300コルでは少々この先は心許無い。
 これは早めにモンスターを倒して、金を手に入れる必要があるだろう。

「……店主。世話になった」
「まいどありぃ。また来てくれよ」

 店主の言葉を受けて、俺は店を出た。だがふと、今出てきた店を振り返る。
 NPCと知ってはいても、俺には普通に人間と会話をしているように思えた。
 一つ確認したいことがあったので、俺はもう一度、今出てきたその店に入った。

「いらっしゃい! ドマールの武器屋へようこそ!」
「…………っ」

 最初に入ったときと、少しもずれの無い声音で言う店主。
 その店主の顔も、先ほど見た笑顔とまったく変わりはなかった。一瞬だけ、店主の笑顔が能面のように見えた気がした。
 その様子を見たとき、俺は悟った。

 ――そうか。これがNPCというものなのか……。

 俺は、少しだけ寂しい気持ちになりながらも、店主に質問をした。

「……店主、質問がある。《ウッドハンドルスピア》と同じように、柄の部分が木で出来ている槍というのは他にあるのか?」

 これから俺は、木柄の槍を主武器とするだろう。
 もし、そういう槍の種類が少ないのだとしたら、少しだけ方向性を変えてみる必要もある。
 全金属製の槍、あまり(しな)らない重い槍に慣れるということも、しなくてはならないかもしれない。

「ああ、もちろん他にもあるぞ。(オーク)やクヌギ、松を柄に使った槍な。だが、敵の攻撃をその武器で受けた時に他の全金属性の槍よりも耐久値の減りが早いっつう共通の特性があるぜ」

 その特性はさっき聞いた。
 一度、店を出ると忘れてしまうのだろうか。

「……そうか」

 知りたいことは解った。今はもうこの場所には用は無くなった。
 そう思って(きびす)を返そうとしたとき、

「そういやぁ、三十五層の《迷いの森》のどっかに木造柄の強い槍を落とすモンスターが出るって聞いた事があったような……」

 ――?

 店主が誰に言うでもなく呟くように言った。
 これは、この情報は信じてもいいのだろうか……?
 だが、このNPCが俺を騙す理由も思い当たらない。
 とすれば、俺の最初の目標はその三十五層の《迷いの森》にあるという《強い槍》を探すということにするか。
 百層攻略は大きな目標として、目先の目標も決め
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