SAO編
序章 はじまりの街にて
3.己に出来る事
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額600コル
そのウッドハンドルの名の通り、柄の部分が木で出来た槍だ。柄が木製ゆえに、先ほどの槍よりかは軽い。
構えたまま軽く槍を左右に振ってみる。
――ふむ。撓りはまあまあだな。
俺が探していたものと割と近しいものだったので、すぐにそれを買おうとした。
そのとき――
「お客さん、それを買うなら注意しろよ。それは柄の部分がやわい木造だからな。はっきり言って耐久値が他より低いんだ。モンスターの攻撃を受けたらガンガン耐久値が減っていくぞ」
そう、店主が言った。
――ふむ、それは困る。
確かに現実の実際の武器でも、思いきり叩いたり受けたりしてれば直ぐに磨耗する。
SAOでは、どこまで、どの程度まで一つの武器で戦うことが出来るのかは俺にはまだ解らない。
「……店主。ではこの槍は、攻撃するにも耐久値は減りは早いのか?」
「いやまあ、減るっちゃ減るがな。モンスターの攻撃を受ける程には減らねぇよ。そこは他の武器とほとんど変わらねぇ。その《ウッドハンドルスピア》は、あくまでモンスターの攻撃を受けたときに全金属製の武器に比べて耐久値が減る量が多いっていうもんだ。まあ、そんかぁし、普通ならレベル5ぐらいの筋力要求値が必要な全金属製の槍と同じぐらいの攻撃力を持ってるんだぜ。刃の部分だけは《鉄》だしな」
なるほど。それはいいことを聞いた。
正に俺に相応しい槍だ。正確には、俺の扱う槍術に……だが。
俺は《ウッドハンドルスピア》を買うことに決めた。
「……店主、これを貰う」
「ほいよ。えーと、値段は600コルだ」
その店主の言葉と共に、俺の目の前に【Buy it ?】とウィンドウが現れた。
――600コル……か。
プレイヤーに初期配布されている通貨は、1000コル。
俺は先ほど《スウェルトードの串焼き》一つ50コルを、二つ買った。
つまり現在の所持金は900コル。
槍を買えば300コルになる。だが、モンスターを倒せば金は手に入るだろう。
俺は迷わず目の前の【Yes】に触れた。
「まいどあり」
俺はアイテムストレージを開き、今買った槍を確認する。
――300コルか。もう、金に殆ど余裕は無いと考えていいだろう。
この《SAO》の世界には、食欲が存在する。それは先ほど自分で確認済みだ。
ならば当然、睡眠欲もあると考えた方がいいだろう。つまり、寝床が必要だ。
野宿も考えたが、マニュアルを読んだときに見た一文を、俺は思い出していた。
――宿屋の個室や、プレイヤーハウスのセキュリティには――
セキュリティ。ゲーム内でそんな言葉が出てくるということは、逆を言えばそれが必要になるということだ。
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