SAO編
序章 はじまりの街にて
3.己に出来る事
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知っている。……俺が平然としているように見えるのは、恐らくそのせいだろう。それより怖い物なんて、想像できないのだからな」
そう、俺が最も恐れる存在。それは、俺にずっと稽古をつけ続けていた祖父だ。
俺は幼い頃より武術を習ってきた。その中で祖父と相対したとき、本当に死ぬと幾度も思ったものだ。
幼い俺でも容赦なく骨を砕き、急所を攻撃してくる祖父。
恐らく俺は、そんな祖父より怖いものを想像出来なかったのだろうと思う。
だからこそ、自分の命が懸かっているという状況にも平然としていられる。
しかしそれが、俺が最初の一歩を踏み出せることが出来た要因でもあったのだから、逆に良かったとも言える。
「…………」
俺の答えを聞いて、銀髪の少女は黙った。
それもしかたないだろう。俺の答えは、かなり特殊な部類に入る。
その答えを理解しようにも、それが想像できないのだから無理な話だ。
俺は今度こそ三人背を向けて、武器屋に向かった。
背中の方から、あ、う……という声が聞こえてきたが、俺のような特殊の塊みたいな男とは一緒にいない方があの子たちのためだろう。
もっと他に、丁寧に教えてくれるような人物がいるだろう。ここには一万人ものプレイヤーがいるのだから。
少しだけ浮かんだ罪悪感を振り払いながら、俺は武器屋への道のりをやや早歩きで急いだ。
「――いらっしゃい! 《ドマールの武器屋》へようこそ!」
カランカラン、というカウベルの音を鳴らしながら木製のドアを開けると、活きのいい声が店内に響いた。
ニコニコ顔の太った中年の定員の声だ。
額から頭頂部だけ禿た頭。角ばったアゴにも鼻の下にも髭は無い。
汚い――といっても洗濯しても消えなかったような黒ずみの付いているエプロンを、でっぱった腹で押し出すように着ている。
店内は石畳以外は殆ど木造。片手剣や両手剣、槍、矢などが樽に何本も乱雑に刺さっている。多分、安物なのだろう。
逆に高価な武器は、棚にそれぞれ台に乗せて置かれている。しかし、そちらは今の俺では買えない。
店内には、俺の他に客はの誰もいなかった。
二木が前に言っていたことだが、《はじまりの街》にはいくつも武器屋があるらしいので、ここだけに人が集まることもない。
それもそのはず、今現在この街は一万という人数をかかえているのだ。
その人数を賄う武器屋なんて、それこそデパート並みの店でも賄えるかどうかあやしい。
それに加え、先ほどあんなことがあったばかりなので、武器屋に行こうとする者がそもそもまだ少ないのだろう。
「……店主。武器を探しているのだが」
ここSAOでの、店での買い方は俺が知っているのは3つだ。
一つ目は、店に置
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