SAO編
序章 はじまりの街にて
3.己に出来る事
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を開いたのは茶髪の少女だった。
「な、なに言ってんスか! 危ないッスよ! ここで、安全な場所で外からの救出を待ったほうが――」
「……救出は無いだろう」
「――な!?」
俺は、少女の言葉の途中で冷たく言い放った。
「もし、俺が茅場晶彦の立場だったら……1パーセントでも、自分以外の外部の手によってこの状況を打破できる可能性があったのなら、そもそもこんなことを実行しないだろう。天才と呼ばれる人物なのだったら、尚のことそこは解っているはずだ。……ならば、茅場の言う通りにするしかない。このゲームをクリアして、茅場本人に開放してもらうしか……無い」
ありえない、そう凡人が思うことをしてしまうのが天才だ。茅場晶彦がそうだというのなら、救出なんて待っても恐らく無駄だろう。
「…………」
四人の間に沈黙が降りる。
かなり厳しいことを言ったということは自覚している。
しかし、俺がそう思っているんだということはハッキリとしておきたかった。
いや、もしかしたら俺は、自分自身に言い聞かせていたのかもしれない。
「……俺は街を出てモンスターを倒す。レベルを上げて強くなる。……それが今、俺に出来る最良の事だと思うからだ」
三人は、それぞれ何か言いたそうにしていたが、それを遮るように俺は続けた。
「……だが、別に無理に戦おうとしなくても……街に留まっていてもいいとは思う。人には向き不向きだってある。戦いたいと思う者、戦う決意をした者だけが戦う。逆に戦いたくはない、戦いが怖い、死ぬのが怖い者は……無理に街を出なくても良いと俺は思う。本当の命が懸かっているのだから怖くて当然だろう。それは誰も責める事は出来ないし、逆に……俺のように外に出て行く者を引き止める事も出来ない。……自分に出来ることを考えて、それを行う。それが、今俺たちがすべきことだろうしな……」
そう言うだけ言って、俺は別れの言葉も告げず、三人に背を向けようとした。
だがその前に、今まで黙っていた銀髪の少女が初めて俺に向かって口を開いた。
「あ、あのっ……あなたは、こ、怖くないんですかっ……?」
俺は銀髪の少女を見た。
怯えるような瞳に震える肩。多分、かなりの人見知りなのだろう。
その顔をよく見ると、俺はふとあることに気付く。
似ているのだ。金髪の少女と銀髪の少女の顔立ちが。
恐らく姉妹、それも双子だと思われる。
快活そうな金髪の少女とは違って、こちらは貞淑な雰囲気を纏っている。
腰まで伸びたストレートの銀髪も、その清楚さを引き立てている。
そんな少女の問いに、俺は至って平然と返した。
「……別に、死ぬのが怖くないわけではない。……ただ、俺はこのSAOの世界で出てくるどんな怪物よりも怖い存在を
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