SAO編
序章 はじまりの街にて
3.己に出来る事
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で、俺に何か用か?」
その俺の言葉に驚いたのか、三人は一瞬背をピンッと伸ばし、こちらを向いた。
「あ、す、すみません! こっちから声かけたのに……」
金髪の少女が謝ってきた。その本当に申し訳ないと思っているような顔を見て、俺はすっかり毒気を抜かれた。
「……いや、それはいい。で、何か用なのか? 正直、声をかけられる覚えはないが……」
俺は、極めて普通に言ったのだが、銀髪と茶髪の2人は、肩を震わせて怯えたような目でこちらを見ていた。
だが金髪少女だけは、至って普通に俺の問いに答えてきた。
「あ、はい。えとですね。私たち、そのVRMMOって初めてなんです。……なのに、こんなことになっちゃって。どうしていいか解らなくて……それで、その……色々と教えてくれる人を探してるんです」
不安さを隠さない拙い声音で、そう言った金髪の少女。
――ふむ、なるほど。
つまり、この三人は自分たちに出来る事が考えても見つからなかった、というわけか。
だがそれは別に悪くない。そしてその場合、誰かに訊くという行為は正しい。
解らないことは訊く。その行為は大切なことだ。
しかし――
「…………すまないが、人選を間違えている。俺もVRMMO――いや、ゲームというもの自体これが、SAOが初めてだ。俺ではお前たちの疑問には答えられない」
この少女の言っている事は解る。解るが、ゲームのことなんて二木に聞いたことしか知らない俺に、その役が務まるなどとは到底思わない。思えない。もっと相応しい人間が他にいくらでもいるだろう。
俺のその言葉を聞いた金髪の少女は、少し驚いたような顔をしてから、再び口を開く。
「あ、え……じ、じゃあ、ど、何処に向かおうとしていたんですか?」
周囲の人間のほとんどは、未だその場を動かない。
そんな中、俺が何処かに行こうとしたことで、俺が他とは違う、もしかしたらこのゲームに詳しいのかもしれないと、この少女は思ったのだろうか。
「……武器屋だ。さっき街を回った時に場所を確認していた」
「何で武器屋に……? もしかして、外に出る気なんですか? し、死んじゃうかもしれないんですよ!?」
金髪の少女が叫ぶ。
――何故、この少女はそんなことを叫んでいるのだろうか?
――たった今話したばかりで面識も無い俺のことで、何故こんなにも必死な顔ができるのか……。
そんなことが一瞬、脳裏をかすめたが、俺は冷静に返した。
「……茅場晶彦と名乗る者が言ったな。第百層のボスを倒さなければ俺たちは開放されないと。……だから俺は、自分に出来ることをするまでだ」
金髪の少女、だけじゃなく銀髪、茶髪の少女三人が俺の言葉を聞き、目を見開く。
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