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SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
3.己に出来る事
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 俺は、未だ混沌たる有様の《はじまりの街》の中央広場を見渡した。
 そして、錯乱したり絶望したりしている者たちの中に、ある種の目的を持った瞳をしている者が、見える範囲では数名、広場を後にしているのが確認できた。
 恐らく、彼らは自分たちに出来る事――しなくてはならない事を見つけたのだろう。
 ならば、俺もいつまでもここで佇んでいるわけにはいかない。
 まずは武器がいる。
 最初にステータスを確認した際、初期装備として片手直剣《スモールソード》というものが、アイテムストレージに入っていた。
 しかし、俺の最も得意とする武器(えもの)は《槍》だ。
 剣も使えなくはないが、実際に命の懸かっている状況だ。一番慣れ親しんだ武器を使う方がいいだろう。
 そう思い、俺は街を見て回った際に見つけた一軒の武器屋へと歩み出した。
 そんな時、広場を後にしようとした俺に背後から声がかかった。

「――あ、あの……あのっ……!」

 最初俺は、それが自分にかけられた声だとは思わなかった。
 このSAOという世界で、俺のことを知っている者なんていないのだから。
 だが声の主は俺の右側に回ってきて、はっきりと俺を見て再び声を上げた。

「あの! す、すみませんっ!」
「……?」

 目をきつく瞑りながら訴えるように言ったその人物。
 金髪の少女だった。
 頭の左右で縛った、腰まで届くだろうツインテールの金髪。
 恐らく歳は俺の1つか2つ下。
 恐る恐ると開いた瞳は大きく、顔の部品の並びも整っている。
 大多数から美少女と言われる類の顔だろう。
 俺と同じ初期装備である白い麻シャツ、灰色の厚布ベスト、そして男とは違う簡素なベージュ色の短いスカート。
 それらは、男の装備よりは全体的に可愛いらしい印象を受ける。
 目の前の少女が派手な金髪をしているせいか、やや地味目にみえる初期装備の服装が、少しだけ特別に見えた。
 しかし、何故この少女は俺に話しかけてきたのだろうか。

「…………何か――」

 用があるのか、と言おうとした俺の言葉に割り込む声があった。

「ネリー!」

 そして、金髪の少女の両脇に、今度は銀髪と茶髪の少女が現れた。

「ハァッ、ハァッ……もうっ、いきなり走りだして……」
「ヒー、ヒー……そ、そうッスよ! というかこんな場所で置いて行かないで欲しいッス!」

 前者が銀髪、後者が茶髪の2人の少女。どうやら三人は知り合いらしい。歳も同じくらいに見える。
 金髪の少女が、2人にゴメンと軽い感じに謝罪している。
 だが、こちらとしては早く用件を言って欲しかった。いきなり声をかけてきて、こちらを無視して話をしている3人。
 だから俺はこちらから声をかけることにした。

「…………それ
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