六章
繋がり×去った後の会話
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よりも、余は久遠の目に惹かれたのだ。強く、己の為すべき事を為そうとする、信念を持つあの目が余の心に火を点けた。・・・・三好や松永にいいようにやられ、余はいつの間にか諦めてしまっていた。だが久遠の瞳に魅せられ、余はもう一度、戦いたいと思った。現実に負けたくないと・・・・そう思えたのだよ』
『姉様は、久遠さんに負けたくないのですね』
『ふ、そうだな。・・・・同じような人生を歩みながらも、奴はまだ戦おうとしている。・・・・それが悔しかったのかもしれん』
『・・・・良い事ではありませんか。覇気のない将軍など、置物にもなれませんからな。元気があって結構結構』
『ふははっ!確かにそうだ!』
『それで公方様。今後は織田を頼りに?』
『頼るのは好かん。・・・・共闘するのだ』
『なるほど。物は言い様ですなぁ』
『言っておけ。・・・・一真様との繋ぎは余自らが行う。幽は補佐につけ』
『ほぉ。田楽狭間の天人様いや創造神様とは、惚れたのですかな?』
『そうだと信じたいが、あの金色の御姿は誰でも惚れるわ』
『そうですね。冷静沈着な御方ですけど、裏の顔は誰でも惚れてしまうくらいの御姿でした』
『さすがは余の妹だ』
『それに猛々しさと同じく、心中には春うららかな陽気のような、深い深い優しさを感じました』
『余もそう思う。それに好ましい殿方だと思った』
『やれやれ、お二方も物好きな』
『ふむ・・・・幽は反対か』
『別に絶対反対・・・・という訳ではありませぬがね。そもそも一真様は、久遠様の愛妾と聞いております。本妻がいる以上、正室と側室にはなれんでしょう。実ったとしても久遠様と同じように愛妾止まりかと』
『面白いではないか。今の余はお飾りの公方である。その公方が愛妾となって男の側を飾るのも、浮世の一興』
『それ程までに気に行っておいでなのですか』
『うむ。もっとあの御方を知りたいと思う』
『はぁ〜・・・・だから会わせたくなかったのですが・・・・』
『ん?何ぞ言ったか?』
『いーえ。物好きの主を持つと苦労する、と、少々、愚痴をこぼしておったまでの事』
『ふふっ、我が儘な姉様でごめんね、幽。だけど姉様をよろしく頼みますよ』
『それがし何ぞがよろしくしなくても、一葉様はお一人で立派に生きていけると思うのですが。はぁ・・・・』
俺は左耳からの通信機でキッチリと会話を聞いていた。その後、あの客室を三人が出てから、空間に手を突っ込み盗聴器を回収した。あとで証拠となる会話だったのでデータとして残した。左耳にある通信機をポケットに入れてから町宿に向かったのであった。
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